低炭水化物で、高脂肪の食事を続ける「ケトダイエット」。ダイエットばかりではなく、健康にとっても意味があると考えられていますが、このたび、摂取される脂肪のタイプによっては、肌の炎症を招いてしまうと報告されました。
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脂肪酸によって影響が異なる?
油に含まれている「脂肪酸」には大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。飽和脂肪酸は、健康によいとされるオメガ3系脂肪酸などの不飽和脂肪酸とは異なり、健康にはあまりよくない影響があるとされます。たとえば、美肌にも悪影響があるという研究結果も。動物実験では、高脂肪で炭水化物も多い食事を続けると、皮膚の炎症を招いたり、悪化させたりするという結果が出ています。
低炭水化物、高脂肪の「ケトダイエット」が注目されていますが、これは肉を多く食べるなど飽和脂肪酸を多く摂取する食事法です。ダイエット効果が期待されていますが、肌の状態を悪化させてしまうとしたら困ったこと。とはいえ、同じ飽和脂肪酸でもココナッツオイルなどの「中鎖脂肪酸」は、ラードや牛脂などに含まれる「長鎖脂肪酸」とは異なり健康的な効果があるという研究結果もあります。
そこでオーストリアの研究グループは、飽和脂肪酸のタイプが異なるケトダイエットの効果の違いを動物実験によって検証しました。中鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸のほか、オメガ3系脂肪酸が豊富な魚の油も含め、組み合わせを変えながら、健康への影響を比較したのです。
肌の状態を悪化させたのは…
実験でわかったのは、長鎖脂肪酸を多くとったからといって、皮膚の炎症を強めてしまうような影響はないということです。ふつうの食べ物の場合、長鎖脂肪酸を多くした場合、長鎖脂肪酸の一部を中鎖脂肪酸に変えた場合、魚の油を含めた場合では、長鎖脂肪酸が多いだけでは皮膚の炎症が悪化するようなことはありませんでした。むしろ、中鎖脂肪酸が足されたり、魚の油が足されたりしたりすると、皮膚の炎症を悪化させるような影響が現れたのです。
健康によいといわれる中鎖脂肪酸ですが、肌の健康にとっては好ましくない効果が出たことになります。研究グループは、今回は脂肪分の極端に高い食べ物で調べたので、一般的な人の食事とは違う状況と説明。ケトダイエットがすぐに肌の状態を悪くするとはいえないようですが、研究グループによると、皮膚の炎症がでてくる乾癬などの皮膚疾患をもともともっているような人は、ケトダイエットを避けるといった対応を考えるとよいのかもしれません。
<参考文献>
How do ketogenic diets affect skin inflammation?
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/10/191017075554.htm
The Influence of Ketogenic Diets on Psoriasiform-Like Skin Inflammation
https://www.jidonline.org/article/S0022-202X(19)33205-1/fulltext