くるみはいろいろな効能が報告されて注目を集めています。そもそもナッツを食べると、長寿につながるという研究結果まで得ています。含まれる成分は美容にもよさそうですが、糖尿病の予防や腸の健康につながるとも。そしてこのたびまたひとつ新たな報告が。腸内細菌など腸への効果により心臓の健康につながるというのです。
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くるみを食事にとり入れると…
くるみをはじめナッツは、健康への効果が注目されているオメガ3系脂肪酸が豊富なだけでなく、食物繊維が多いことから、腸内フローラにもよい影響があると考えられるようになっています。これまでくるみはコレステロールや血糖値を下げるという研究結果が出ていましたが、最近の研究では腸内環境がよくなることで、全身の健康にもよい影響があるといわれるように。
そこで米国の研究グループは、くるみの効果についてあらためて分析したのです。調べたのは、食事にくるみを加えると腸内細菌がどのように変化するのか、さらに心臓病のリスク要素に影響するのかという点。太りぎみや肥満の42人に3種類の食事をとってもらい違いを比べました。
3種類の食事とは、飽和脂肪酸を減らした標準的な食事にくるみを加えたもの(1日57〜99g)、くるみを加えずに同量のαリノレン酸(ALA)を入れた食事、αリノレン酸をオレイン酸に置き換えた食事の3つ。順番に6週間ずつ食べてもらい、それぞれ便を分析して、血圧や血液検査での脂質やコレステロールなどを測ったのです。αリノレン酸はDHAやEPAと同じオメガ3系脂肪酸、オレイン酸はオメガ9系脂肪酸なので、脂肪酸の違いを比べることになります。
善玉菌が増える効果
まずわかったのは、くるみを加えた食事をとっていると健康によいとわかっている腸内細菌が増えること。たとえば、これらは腸の内壁を保護するといわれているロゼブリア菌のほか、ユーバクテリウム菌といった善玉菌が増えていたのです。くるみの代わりにαリノレン酸を加えた食事でも増えていましたが、くるみを加えた食事のほうが多く増えて、多様性も豊かになるとわかりました。
さらに、これらの善玉菌の増加と心臓病のリスクにつながる体のトラブルも減らせる可能性も見られました。たとえば、ラクノスピラセア菌が増えると、血圧、総コレステロール、non-HDLコレステロール(総コレステロールからHDLコレステロールを引いた値)が低くなるという結果に。くるみを加えなかったほかの2種類の食事では見られない変化です。
研究グループは、「くるみに含まれる脂肪酸に加えて、食物繊維やほかの成分が腸内フローラを豊かにして、心臓の病気を防ぐ効果につながっている可能性がある」と結論づけています。
<参考文献>
Walnuts may be good for the gut and help promote heart health
https://news.psu.edu/story/603086/2020/01/16/research/walnuts-may-be-good-gut-and-help-promote-heart-health
J Nutr. 2019 Dec 18. pii: nxz289. doi: 10.1093/jn/nxz289. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31848609
https://academic.oup.com/jn/advance-article/doi/10.1093/jn/nxz289/5680186