ダイエットにとっても美容にとっても脂肪は大敵。なんとか脂肪を減らせないかといつも考えてしまう人も多いのではないでしょうか。そんな脂肪にはエネルギーを蓄えておくタイプの脂肪と、エネルギーを積極的に燃やすタイプの脂肪に大きく分かれています。やせるためにはエネルギーを燃やす脂肪が増えるのが理想的。海外の研究グループが、その転換を促すヒントを発見。もしかすると、脂肪をうまく燃やす体に変身することも夢ではないのかもしれません。
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エネルギーを燃やす脂肪とは?
世界に太りすぎの人は19億人おり、肥満の人も6億5999万人います。太ることが健康に悪影響を及ぼすことは明らか。
そもそも脂肪はエネルギーを蓄えて、エネルギー不足のときに体に供給してくれるほか、ホルモンを出して、食欲や満腹感をコントロールする役割があり、脂肪のなかにある脂肪細胞はエネルギーのバランスを保つためには欠かせないものなのですが、多すぎると問題なのです。
ただし、脂肪のなかでもエネルギーを盛んに燃やすタイプの脂肪の「褐色脂肪」は、体に与えるメリットが大きいと考えられています。これまで褐色脂肪を多くもつ人は太りづらく、病気にもなりづらいことが研究で示されてきました。特にエネルギーを蓄えるタイプの脂肪である白色脂肪のなかに褐色脂肪が存在するときが有効だとも。さらに、こうした褐色脂肪がどのように存在して、どう働くかには個人差がある点も注目されてきました。
このたびドイツの研究グループは、白色脂肪を褐色脂肪に変えることができるのか、その可能性を遺伝子の観点から報告しました。着目したのは遺伝子の働き。それをコントロールできれば、有用な褐色脂肪を増やすことにつながる可能性を考えたのです。
遺伝子によって褐色脂肪へと変換できる?
研究グループが突き止めたのは、褐色脂肪のなかで働いている遺伝子の全体像です。どんな遺伝子の働きによって褐色脂肪ができているのかを分析。その結果、褐色脂肪のなかで働いている遺伝子のパターンがあることが浮かび上がりました。エネルギーを燃やしてくれる褐色脂肪の特徴がこれで初めて明らかになったといいます。こうした発見を活かすと、体の脂肪を大きく変化させて、やせやすい体にもっていくことも夢でなくなるかもしれません。
もっともまだ動物実験でわかった段階なので、実用化はまだまだ先になりますが、脂肪の成り立ちがもしかするとダイエットの成功とも密接に関係し、遺伝子をコントロールすることで褐色脂肪の量を調節できる可能性が広がるかも。ふだんのフィットネスやダイエットでそんな脂肪のバランスがもっと注目されてくるかもしれません。
<参考文献>
Emergence of calorie burning fat cells
https://www.tum.de/nc/en/about-tum/news/press-releases/details/35860/
Cell Rep. 2019 Dec 17;29(12):4099-4113.e5. doi: 10.1016/j.celrep.2019.11.053.
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S2211124719315359
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31851936