フィットネスの効果には個人差があります。頑張っているつもりなのに、体重が落ちなかったり、筋肉がつきにくかったりすることもあるでしょう。未来の話になってくるかもしれませんが、運動の効果が血液から測れるようになる可能性があるとの研究が報告されています。運動によって血液に起こる変化を測定するのです。変動する血液成分は9815種類に及ぶといい、運動の効果を血液からモニターする時代が来るかもしれません。
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運動の効果に個人差が出てくるのはなぜ?
引き締まった体を目指すべく、屋外でのトレーニングやランニングなど、再び自宅を出て運動する機会が増えてきた人は多いかもしれません。エクササイズが体にはよいのは誰しも知っていることですが、その効果の出方は一様ではありません。運動してもなかなかやせられない、体が締まってこないと悩むこともあるでしょう。そうした運動の効果をより的確に調べる方法があれば、さらに効果を高く出せるかもしれません。
海外でもそうした運動の効果をどう測るかは関心事。このたび米国スタンフォード大学の研究グループは、血液のなかに含まれている2万近くの成分に注目し、運動の効果がどのように出てくるのかを分析しました。36人の男女に有酸素運動に取り組んでもらい、運動により血液の成分に現れる変化を調べたのです。運動を始めてから2分後、15分後、30分後、60分後と分けて血液を採取しました。
血液から運動の成果が見える
ここから見えてきたのは、運動によって調べた1万7662の成分のうち、運動で変動する成分が9815種類にも及んだということ。しかも、この成分の変化を見ることで、運動がどのように体に影響を及ぼすのかまで見えそうなことがわかりました。
たとえば、運動の最初2分間は体に炎症を引き起こす変化が目立ったのですが、15分後にかけて炎症をむしろ抑える変化が起きることがわかりました。有酸素運動の効果がしっかりと出て、酸素消費が高まる人でもこうした成分の変化から判断できそうであることもわかりました。
こうした血液の成分を調べて運動の効果を測れれば、フィットネスやダイエットにも大きく役立てられるはずです。研究グループでは、今後さらなる研究を進めて、運動の効果を血液から知る仕組みづくりを進めるとのこと。将来的にはもっと科学的な根拠に基づいた運動が可能となってくる可能性もありそうです。
<参考文献>
Stanford Medicine study details molecular effects of exercise
http://med.stanford.edu/news/all-news/2020/05/stanford-medicine-study-details-molecular-effects-of-exercise.html
Contrepois K, Wu S, Moneghetti KJ, et al. Molecular Choreography of Acute Exercise. Cell. 2020;181(5):1112-1130.e16. doi:10.1016/j.cell.2020.04.043
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32470399/