股関節のかたさは、やせにくくなるだけでなく、こりや痛みといった全身の不調につながります。また股関節をほぐすことで睡眠の質も高めることができます。今回は股関節と不調の関係について、骨盤矯正パーソナルトレーナー・整体師のNaokoさんの『寝たままペタ腹! 股関節ほぐし』(主婦の友社)からお伝えします。
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かたくなった股関節を整えれば、ゆがみもぽっこりお腹も解決
体の土台であり、本来はさまざまな方向に動くはずの股関節も、偏った使い方を続けると、かたく、動きにくくなります。すると全身の筋肉に影響が出て、「負担がかかりすぎてかたい筋肉」と「怠けすぎて弱い筋肉」という偏りが生じます。
「“負担がかかりすぎてかたい筋肉”と“怠けすぎて弱い筋肉”は、交差した位置関係で現れます。例えば、座る時間の多い現代人は、股関節が屈曲してかたくなりがちで、腰が後傾して頭が前に出たねこ背姿勢に。するとお腹やお尻がゆるみ、背中が張ってパンパンになり、肩は張り、あごがゆるむといったことが起こります。
そして全身のゆがみは、代謝の低下や痛みの引き金になり、太りやすくなったり、肩こりやひざ、腰の痛みにつながったりと、全身に悪影響します。大切なのは土台である股関節をほぐし、偏りなく整えること。ダイエットしたい人も健康になりたい人も、それが確実に体を変える最初の一歩であり、いちばんの近道です」
上半身と下半身を結ぶ役割を担う股関節は、かかる負荷も大きく、全身のゆがみにつながり、悪影響を及ぼします。そうすると、太りやすくなったり、エクササイズ効果も半減してしまいます。
股関節をほぐせば心も整う
股関節がかたいと、よく使う部位とあまり使われない部位が出てくるというのは前述の通り。それは心にも影響します。
「怠けすぎて弱い筋肉がたくさんあると“頭は疲れているのに、体は一部分しか疲れておらず、そのほかのほとんどの部位は疲れていない”という状態になり、『眠れない』『疲れがとれない』という不調が現れます。けれども私のもとに通って股関節ほぐしを実践し、弱い筋肉を使えるようにトレーニングしていただくと、ほとんどの方に『すごくよく眠れるようになりました』と言っていただけます
股関節をほぐせば怠けすぎて弱くなっていた筋肉が目覚め、動いた分だけ筋肉も疲労することになります。そうして、眠りにもよい変化が現れるのです。
また股関節をほぐすことは、自律神経の通り道にある背骨が整うので、交感神経と副交感神経のスイッチが切り変わりやすくなり、自律神経による不調も軽減されます。このように股関節を整えることは、体だけでなく、気持ちや睡眠の面でもよい影響が期待できるのです。
不調改善の股関節ほぐし
〈腰痛改善〉5〜10呼吸
腰が痛い人はもれなく、股関節とお尻がカチカチになっています。股関節を外旋させて(外側に回して)インナーマッスルをほぐしつつ、壁を足裏で押す力でお尻の筋力をアップさせます。
(1)左の足裏を壁につけて右足首を左脚にかける
あお向けになり、左脚は股関節とひざを 90度に曲げ、足裏を壁につけます。右 脚は足首を左脚にかけてひざを外側に。息を吐きながらお尻を上げます。
(2)息を吸いながら足裏で壁を強く押してお尻を下げる
左の足裏で壁を強く押し、息を吸いながらお尻を下ろします。反対側も同様に。
〈肩こり改善〉左右ともに5回
体をひねることで腕を体のうしろにセットし、背骨のゆがみを調整しながら、パンパンに張った背中と肩甲骨周りをほぐします。
(1)左ひざを体の右側に倒し胸は天井に向ける
あお向けになって左脚を体の右側に倒し、ひざを90度に曲げて右手で押さえます。胸を真上に向け、左腕はひじをゆるめて頭上に伸ばし、手の甲を床につけて。顔は左側に向けます。
(2)左腕で弧を描くように上から下に床をはわせる
息を吐きながら、左腕で弧を描くように床をはわせて下ろします。反対側も同様に。
〈冷え改善〉5〜10回
脚の裏側の筋肉をつけると、根本的な冷えの改善につながります。脚を上げて、血流を促しながら、下半身の筋肉を刺激しましょう。
(1)あお向けでそろえた両脚を天井方向に伸ばす
かかとを上にぐっと突き出して。ひざはゆるく曲がっていてOK。
(2)腰が反りすぎないよう脚をつけ根から下ろす
息を吐きながら、お腹の力が抜けないよう、両脚をゆっくりと下ろします。息を吸いながら、もとの位置に戻して。
全身のゆがみや不調とも関係する股関節のかたさ。腰や肩のだるさや疲労など、ちょっとした不調を感じたら、早めにセルフケアしていきましょう。
文/庄司真紀
参考書籍/『寝たままペタ腹! 股関節ほぐし』(主婦の友社)