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数分でも座っている時間を軽い運動に置き換えると…? 海外研究の分析でわかった健康効果とは

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運動が健康によいことはいうまでもありませんが、忙しい毎日のなかで運動に時間を割くのは難しいもの。そんななか、海外研究において1日の活動を5種類に分類したうえで、それぞれの健康への影響を分析するという検証が行われました。すると、たとえ数分間でも座っている時間を軽い運動に変更するだけで、健康にプラスの効果をもたらすことなどが明らかに。どのような工夫をするとよいのでしょうか。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

活動量計で行動を5つに分類

デスクワーク

日常のなかで定期的な運動を行う、座っている時間を減らす、質のよい十分な睡眠をとる。これらの行動はそれぞれ独立した研究に基づいて、心臓病や血管の病気のリスクを減らすことに役立つとされています。また、それらの活動は1日のなかでお互いに関連しながら、全体的な健康状態の向上につながると考えられています。

そこで今回、英国ロンドン大学をはじめとする国際的な研究グループは、1日の行動を5種類(睡眠、座っている、立っている、軽度の運動、中〜高強度の運動)に分け、その構成と心臓および血管の健康との関係を調べてみました。

対象としたのは、英国やオランダなど5か国からの観察研究6件(合計参加者1万5000人以上)のデータです。太ももに活動量計を装着してもらって収集した数値から、1日の行動パターンの構成を算出し、BMIや胴まわり、コレステロール値、HbA1c(糖尿病の診断に用いられる指標)などの健康指標との関連性を分析しました。

軽度の運動は、100歩/分未満のウォーキングとそれ以外の立った動き、中〜高強度の運動は100歩/分以上のウォーキングと階段の昇降やランニングなどとしました。座っている時間には、睡眠以外の横になっている時間も含まれます。

軽い運動でも時間をかければ同様の効果

デスクワーク

こうして研究で確認されたのが、1日の行動パターンの構成で「中〜高強度の運動」の割合を多くした場合と「座っている」の割合を少なくした場合に健康指標の結果がよいことです。

具体的には、座って過ごす時間が多いと体に悪い影響がありますが、その反対にほかの行動パターンに時間を割くほど、体によい影響があることが明らかになりました。また、中〜高強度の運動、軽度の運動、立ち姿勢、睡眠の順で時間を多く使うほど好ましい影響が認められました。

この研究では、日々の行動の割合を変えた場合の影響も検証。その結果、中〜高強度の運動によって、ほかの4つの行動(座る、軽い運動、立つ、睡眠)を30分置き換えると、すべての活動パターンでBMIが0.15〜0.63減少するという結果が出ました。たとえば、BMI26.5の54歳の女性が座っている時間を30分、中〜高強度の運動に変更すると、BMIが0.64減り、胴まわりが2.5cm縮小するということです。

最も効果的なのは、わずか1、2分でも心拍数が上がる中〜高強度の運動(早歩きや階段を上る)に変更することです。

また、軽い運動でも時間をかければよい効果が見られるといいます。たとえば、机の前にずっと座っている代わりに、毎日数時間スタンディングディスクを使うと、運動の時間を特別に確保しなくても効果が得られるということです。

電話をしながら歩いたり、アラームをセットして1時間ごとに手足を大の字に広げてジャンプをしたりと、自分が楽しめて続けられる方法で、心拍数が上がるようなちょっとした運動をとり入れる。そうした工夫はヘルシーで活動的なライフスタイルを始める一歩になりそうです。

<参考文献>

Any activity is better for your heart than sitting
https://www.ucl.ac.uk/news/2023/nov/any-activity-better-your-heart-sitting

Blodgett JM, Ahmadi MN, Atkin AJ, Chastin S, Chan HW, Suorsa K, Bakker EA, Hettiarcachchi P, Johansson PJ, Sherar LB, Rangul V, Pulsford RM, Mishra G, Eijsvogels TMH, Stenholm S, Hughes AD, Teixeira-Pinto AM, Ekelund U, Lee IM, Holtermann A, Koster A, Stamatakis E, Hamer M; ProPASS Collaboration. Device-measured physical activity and cardiometabolic health: the Prospective Physical Activity, Sitting, and Sleep (ProPASS) consortium. Eur Heart J. 2023 Nov 10:ehad717. doi: 10.1093/eurheartj/ehad717. Epub ahead of print. PMID: 37950859.
https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehad717/7343176

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