「スマートウォッチ」や「アクティブトラッカー(活動量計)」に、「スマホ」と「アプリ」を組み合わせてフィットネスに活用すると、ダイエットなどに効果的なのでしょうか?心拍数や血圧から消費カロリー、睡眠まで測れて便利ですが、その実力とはいかほどでしょう。このたび報告された研究によると効果がありそうなことがわかりました。
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9か月にわたってアプリの効果を試す
アプリに本当にダイエット効果があるかは注目のトピックスのひとつのよう。米国では国の研究機関である米国国立心肺血液研究所(NHLBI)が資金を出しているほど。科学的な根拠に基づいて、アプリを作るといったゴールも想定されているようです。
2018年「米国民のための身体活動指針」によると、米国では80%近くが運動を推奨されるほどにはできていない状況といいます。とりわけ問題なのは、女性が運動できていないこと。アプリを利用して定期的な運動をうながし、肥満、心臓病、脳卒中、高血圧、糖尿病などのリスクを下げられるならば理想的。でも、アプリの実力は未知数とされています。
今回、米国カリフォルニア大学の研究グループは、運動におっくうな女性向けのアプリを設計して、9か月にわたって効果を試しました。個人的な目標の設定、セルフモニタリング、さまざまなアプリでのサポート、フィードバックなどの機能を搭載したものです。アプリには、メッセージやビデオが毎日送られてきて、活動日誌をつけられるのも特徴です。
参加者それぞれの身体活動目標が設定されており、1日1万歩まで毎週20%ずつ自動的にその目標が引き上げられていく仕組みとされました。さらに、3日続けてアプリが使われないときに自動的にメッセージが送られてくるようにもしています。
研究の対象となったのは、ふだんさほど運動をしていない女性210人です。女性は3グループに分けられました。ひとつは、活動量計のみ使うグループ。もうひとつは、活動量計とアプリを3か月間使って残り6か月は活動量計のみ使うグループ、さらに、活動量計とアプリを9か月間にわたって使うグループです。
そうして9か月の効果が分析されました。
アプリを使うことで運動の習慣がつけられる
そのひとつの結果として出てきたのは、最初の3か月間に、アプリを使った2つのグループは、使っていないグループと比べると、1日の歩数がおよそ2000歩多くなるということです。およそ1.6 kmまたは20分のウオーキングくらいの歩数。中程度から高強度の身体活動も1日18分も増えていました。
後半の6か月はアプリを使っても使わなくても、活動量計とアプリを使った2グループは、同じように1日およそ1400歩多くなっており、差はありませんでした。中程度から高強度の身体活動が8分増えたという結果です。
最初の3か月について、アプリを使う差が出たことになります。
なお、参加者のほぼ全員が9か月の研究期間に脱落なし。さらに、長期間にわたって効果を維持できるかは今回の研究ではわかりませんが、こうしたアプリを続けると運動の習慣が身につくかもしれません。
<参考文献>
Mobile phone app designed to boost physical activity in women shows promise
https://www.nih.gov/news-events/news-releases/mobile-phone-app-designed-boost-physical-activity-women-shows-promise
JAMA Netw Open. 2019 May 3;2(5):e194281. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2019.4281.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31125101