貧血と聞くと、立ちくらみやめまいで"倒れる"イコール貧血と思っている方は多いのではないでしょうか。実は、貧血の症状はこれだけではありません。「疲れやすい」「毛がやたら抜ける」「頭痛がする」などの症状を貧血だと気づかず、見落としている人は少なくないようです。
また、意外かもしれませんが、女性ホルモンバランスの乱れも原因の一つとしてあげられます。貧血対策には、女性ホルモンバランスを整えることも意識しましょう。
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日本人女性の約半数以上は、鉄欠乏状態!
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビン(Hb)が減ってしまい、体内に十分な酸素がいきとどかず、低酸素状態になると症状を起こします。貧血の種類は、いくつかありますが、最も多い貧血は、「鉄欠乏性貧血」です。
ある調査によると、約半数以上の日本人女性が何らかの貧血症状があるとされています。貧血は放置しておくとじょじょに症状が進みますが、次第に体が貧血症状に慣れてしまうため、貧血と気づかずに見落としてしまう人が多いようです。さらに悪いことに、貧血の症状を加齢や運動不足のせいだと思ってしまい、運動を始めてしまう人も少なくありません!
貧血症状がある人は、運動をするとすぐに心拍数が上がってしまい、心臓に負担がかかってしまうので注意が必要です。
以下のような貧血症状はありませんか?
- 軽い動作で動悸や息切れがする
- 疲れやすい
- 集中力がない
- 頭が痛い
- 爪の色が白っぽい
- 顔色が悪い、またはくすむ
- 立ちくらみ
- 食欲不振
- 目の下まぶたの裏が白い
- 足のむくみ
このような症状があれば、「もしかしたら貧血かも?」と疑ってみて。ひどくなる前に婦人科などの医療機関を受診しましょう。
女性が注意したい貧血の主な原因5つ
1.生理による出血
女性は、毎月、生理で約17mgの鉄を失うといわれており、生理のある女性は貧血になりやすいです。
2.過多月経
子宮内膜症、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫などの病気があると生理の出血量が増えてしまうため、貧血になりやすいです。
3.ダイエットや偏食
ムリなダイエットや偏食が続くと鉄分や鉄分の吸収を助ける栄養が不足し、貧血の原因になります。
4.女性ホルモンバランスの乱れ
不規則な生活、ストレス、睡眠不足などによってホルモンバランスが乱れてしまう。女性ホルモンのエストロゲンは、血管を広げる作用がありますが、血管が広がり続けてしまうと血行が悪くなり、貧血の原因になります。
5.加齢
貧血は、まず貯蔵していた鉄(貯蔵鉄)が減少し、血清フェリチンの量が低下し、やがて貯蔵鉄がなくなってしまうと血清鉄が減少します。この時点では「隠れ貧血」で自覚症状はありません。
さらに鉄が減ってくるとヘモグロビンがつくられなくなってしまい、じょじょに貧血症状が現れ、軽度の鉄欠乏性貧血になります。そして、このまま放っておくと、組織の鉄欠乏状態となり重度の鉄欠乏性貧血となります。軽度の鉄欠乏性貧血になるとヘモグロビンの量が低下してきます。
貯蔵鉄は、なくなるまでに年数がかかるので、年齢を重ねるほど、貧血リスクは高まるということになります。とくに40代の女性は注意しましょう。
その他にも、鉄がうまく吸収できなかったり、体のどこから出血していたり、赤血球の問題も原因となります。
貧血を予防・改善する方法5つ
1.食事療法
鉄分の多い食品+良質なたんぱく質、ビタミンCを一緒にとる!
鉄分は体内でつくることができないので、食事から上手に摂取することが大切です。鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄は15〜25%あるのに対し、非ヘム鉄の吸収率は10%以下しかありません。
ビタミンCと動物性食品や良質なたんぱく質を含む食品などと組み合わせることで、鉄分の吸収率がアップします。
ですので、鉄分補給をしようと思ったら、鉄分の多いレバーなどの動物性食品ばかり食べるのではなく、バランスのよい食事をとることが基本です。
また、タンニンを含むコーヒー、紅茶、緑茶は、鉄の吸収を悪くしますので、注意しましょう。
貧血のない鉄欠乏状態の場合は、食事療法で改善できますが、鉄欠乏性貧血の治療は、難しいので医療機関で適切な治療を受けましょう。
鉄分が多く含まれる食品
- 動物性食品(ヘム鉄)……レバー、カツオ、マグロなど肉や魚
- 植物性食品(非ヘム鉄)……緑黄色野菜、海藻、納豆など大豆製品
鉄分が多いおすすめのスーパーフード 「ナツメ」
ナツメには、鉄分、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル成分や葉酸、ナイアシンなどのビタミンB群、食物繊維やサポニンなどが含まれています。中国では、ナツメを「1日に3粒食べると年をとらない」と言い伝えられているほど、栄養素が豊富に含まれています。鉄分は、プルーンの1.5倍以上です!
ナツメを乾燥させたものやチップにしたものはそのまま食べられるので、おやつにもおすすめです。
2.鉄鍋や鉄瓶で調理する
コーティングされていない鉄鍋や鉄瓶を使って調理した料理から、鉄分がとれます。
3.女性ホルモンバランスを整える
ホルモンバランスは、生理の経血量にも関わります。経血量が多くなり、月経過多になると貧血になりやすくなってしまいます。とくに、生理の前の黄体期と生理期は、ストレスをためない、適度な運動、質のよい睡眠をとり、ホルモンバランスを整えることを心がけましょう。
4.鉄剤を服用する
鉄欠乏性貧血は、基本的に鉄剤の飲み薬で治療します。ただし、鉄剤の長期服用は、消化器官に負担がかかるので要注意しましょう。
5.外科的治療をする
貧血の原因となる病気があれば、医師の治療方針により、外科的治療になります。
女性に多い貧血は、貧血症状を知って、早期発見し、原因をとり除くことがとても大事です。貧血かどうか調べるには、血液検査で血清のフェリチンとヘモグロビンの値を検査するとわかりますので、健康診断の際に血液検査の貧血項目をチェックしてみてくださいね。