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抗めまい薬で天気痛が治療できる?! 天気痛ドクターに聞く天気痛への対処法
雨が降る前や台風が近づくと頭痛がする、梅雨時になると古傷が痛む…。これまで「気のせい」で片づけられてきた、こうした症状は、天気の影響による「天気痛」であることがわかってきました。天気痛でつらい思いをしている人もいるかもしれません。愛知医科大学・学際的痛みセンター客員教授で、天気痛ドクターとしてメディアでもおなじみの佐藤純先生に、天気痛への対処法について伺いました。
Contents 目次
天気痛の予防には、「抗めまい薬」が効く
天気痛に対処するには、つらい痛みが天気の影響を受けているかどうかを知ることをはじめ、次の3つが柱になります。
(1)痛みが天気の影響を受けていることを認識する。
(2)薬の服用などで、痛みをコントロールする。
(3)痛みが出ないようにセルフケアで工夫する
今回は(2)について、お話を伺いました。
自分が天気痛であることを認識した場合、影響がではじめるタイミングで、症状を抑える薬を服用すれば、痛みを予防することができます。
「気圧の影響で悪化する痛みをカットするだけでも、ずいぶんラクになると思います。痛みの予防には、天気痛の場合は、抗めまい薬が効くことが多いです。気圧が下がり始める前や下がっている途中、めまいなどの予兆があったタイミングで服用します。」
抗めまい薬は、内耳のリンパ液や血液の循環をよくする作用があり、むくみを解消。それによって、内耳の敏感さを抑える効果があります。また、気圧の変化というストレスを自律神経に伝える前庭の興奮を抑えるため、天気痛を予防することができます。天気痛によるめまい、眠気、吐き気も改善します。かかりつけの内科や耳鼻科などで相談してください。
「市販の酔い止め薬が効く場合もありますが、自分の症状に合わないこともあるので、服用したい場合は、かかりつけ医に相談してみましょう」
片頭痛や緊張型頭痛の人は、一般的な痛み止めを服用することが多いかもしれませんが、服用量が多くなると、「薬剤の使用過多による頭痛」を引き起こすこともあり、注意が必要です。セルフメディケーションで、痛み止めを1か月に15日以上服用している場合は、頭痛外来などを受診してみましょう。
天気痛に効く漢方薬
効果はゆるやかですが、天気痛に効く漢方薬もあります。
「天気痛には、水分の循環を改善し、ムダな水分をとり除く作用のある漢方薬がおすすめです。主に用いられるのが、五苓散(ゴレイサン)です。内耳のむくみをとり、めまいや吐き気を抑える効果もあります。ただし、漢方薬は、体質=証(個々人の体質や体力、症状などの状態)に合ったものを服用することが大切。誰にでも五苓散が合うとは限りません。漢方薬をとり入れたい場合は、漢方薬局などに相談しましょう」
【天気痛に効果のある漢方薬】
五苓散(ゴレイサン):むくみ、めまい、頭痛、吐き気などに用いられます。内耳の循環をよくして、むくみをとり、めまい症状を改善する働きがあると考えられます。
半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ):めまいを主な症状に、頭痛、吐き気、手足の冷えなどがある人に用います。
紫苓湯(サイレイトウ):むくみのほか、胃腸炎などが原因の下痢、嘔吐にも用います。
抑肝散(ヨクカンサン):神経の高ぶりを抑えたり、筋肉の緊張をゆるめたりする作用があり、心身をリラックスさせます。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ):血行をよくする作用があり、血行不良による頭痛などに用います。
「自分の体調が、天気と連動してアップダウンしているとわかったら、風邪を引いたときと同じように、天気の悪い日はムリせず過ごすようにすることも大切です。また、片頭痛など、もともと持っている疾患の治療も進めていきましょう」
取材・文/海老根祐子 イラスト/黒川ゆかり