全国で在宅勤務が広がるなかで、これまでにない仕事のストレスを感じている人も多いかもしれません。そうした仕事上のストレスは生活にも悪影響を及ぼす可能性があります。仕事に取り組めなくなる人が出てくる可能性も。カナダの研究グループは、ストレスにさらされている人がメンタルを病むリスクは8割も高いと報告。ストレスをいかに和らげるかが重要になります。
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ストレスにつながる要因とは?
厚生労働省の2018年の調査によると、職場で強いストレスを感じている事柄があると回答した人の割合は6割でした。現在は、在宅勤務が広がるなど、仕事を取り巻く環境は大きく変化。ストレスを感じる人の割合にも変化があるかもしれません。自粛ムードなどから気持ちも落ち込みがちななかで、仕事のストレスでさらなる気分の悪化を招いてしまうとすれば大きな問題になり得ます。
このたびカナダのラバル大学を中心とした研究グループが、仕事のストレスと心の病との関連性について過去の研究に基づいて分析しました。対象は13の研究で、合わせて13万人分のデータです。これらの研究のなかで調べたのは、仕事での要求度、裁量権の有無、サポート体制、報酬、待遇の公正さに関連したストレスです。
メンタルをやられたら相談が大切
分析からわかったのは、さまざまな仕事のストレスにさらされることで、心の病のために欠勤となる恐れが高まるということ。低い報酬を原因としたストレスがある場合、そのストレスがない場合よりも、欠勤のリスクは76%増えました。報酬を受けるための労力のアンバランスがある場合のストレスではリスクは66%増加。裁量権がなく仕事の要求度が大きい場合は47%増加。裁量権がない場合は25%、仕事の要求度が大きい場合は23%増加となりました。
研究グループは、メンタルを病んだときには相談をするのが大事だと説明しています。医師がメンタルヘルスと仕事のキャパシティーを正しく評価するのです。ストレスの問題は起こりやすく、ストレスのもとをなくしていく対応は可能であるといいます。仕事のストレスで押しつぶされそうなときには、メンタルヘルスの専門家のもとを訪れるのは選択肢として知っておくとよいでしょう。
<参考文献>
平成 30 年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h30-46-50_gaikyo.pdf
Psychosocial Stressors at Work and the Risk of Sickness Absence Due to a Diagnosed Mental Disorder
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/2763369