不眠がつらくて薬を飲み始めたら、飲まないと眠れなくなってしまった。止めたほうがいいのに、止められない…。
生活習慣改善サロン「Flura」を主宰する小林麻利子さんにうかがう、【睡眠のお悩み解決】。今回はよく眠るための薬とのつき合い方について聞きました。
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CASE21
眠れなくなって、薬局で睡眠改善の薬を買って飲み始めました。飲み続けると体への影響があるのではと不安だけれど、飲まないと眠れません。
小林先生のお答え
眠りやすくなれるよう、生活習慣を整えて
病院で処方された薬は、医師に相談を
眠れないときに飲む薬といっても、薬局やドラッグストアで扱っているのは睡眠改善薬。お医者さんに処方してもらう睡眠薬や睡眠導入剤とは違います。
間違いのないように先にお伝えしておきますが、病院で診断を受けて飲み始めた薬なら、薬の種類によって服用を止める方法が異なります。飲む量を少しずつ減らしていったり、1日置き、2日置きと飲む間隔を広げたり、また、効き目の強い薬から穏やかな薬に変えることもあります。
ですから、病院で処方された睡眠薬や睡眠導入剤を服用しているなら、自分だけで止めようとせず必ずお医者さんに相談してください。
朝の光を浴びて、午後7時に体を動かす
ドラッグストアなどで買った睡眠改善薬や睡眠のためのサプリメントを服用していてやめられないなら、生活習慣を整えながら徐々に薬やサプリを減らしていきましょう。
まずは、朝起きてからすぐ、遅くとも2時間以内に、太陽の光をたっぷり浴びること。この光がスイッチとなって、夜に睡眠ホルモンのメラトニンを分泌します。窓越しでもよいので、とくに曇りの日は身支度や通勤の時間を存分に利用して、光を浴びる意識をもって。
それから、体温のメリハリを作る。深部体温がもっとも高くなる夜7時ごろに、体を動かしてできるだけ体温を上げておきましょう。“40度のお湯に15分”の入浴もマストです。お風呂から上がるのが、夏は就寝1~2時間前、冬であれば30分~1時間前になるように入ってください。お風呂で上がった深部体温が急降下して寝入りやすく、しかも深く眠れます。
寝る前には、自律神経を整えるツボがある耳を指でもんだり、耳全体をグルンと回してリラックスするのもオススメです。
このあたりは、生理前の体調不良についてのお悩みでもお伝えしているので、参考にしてください。
https://fytte.jp/healthcare/97535/
香りや曲のお守り、うっとり妄想で夢の中へ
ドラッグストアなどで買った睡眠改善薬や快眠サプリを止められない人にとって、その薬やサプリは眠るためのお守りのようになっているのかもしれません。ですから、それに変わる何かほかのものを見つけましょう。例えば、この香りを嗅げば、この曲を聴けば自然と眠れるというものです。
嗅覚からの刺激はもっとも影響が高いので、例えば小さなディフューザーを枕元に置いてラベンダーのアロマオイルを数滴垂らし、自動オフのセットをして眠りに就く。寝ついたあとには森林系の香りが自律神経を整える効果があることがわかっているので、シダーウッドをブレンドして朝まで焚くのもいいですね。
そしてなによりお伝えしたいのは、あえて眠らなくてもいいと思うこと。翌朝、太陽の光を浴びれば自然と体の交感神経が高まって、セロトニンが分泌されて活動的になります。たとえプレゼンの前夜に緊張して眠れなかったとしても、準備しておいたことは身についていて、意外とうまくいくものです。
「眠らなくちゃ」と思うと、余計に眠れなくなります。数日眠れなくても、まるで死んだように眠れる日が必ず来ます。大丈夫だから、小難しく考えない! とくにまだ薬やサプリを飲んだことがない人は、それより本連載で紹介した方法で体や環境を眠りやすいように整えて、布団に入ったら愛しい人や好きな芸能人と過ごす楽しい時間を妄想しましょう。いつの間にか幸せな気持ちで眠りに就いているはずです。
取材・文/宮下二葉