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大音量のアラームは、自律神経に大負担! 疲れない体になるために、朝・昼・晩にできること
これといった病気はないのに、なんとなく体調がすっきりしない、という疲れの正体は、自律神経の疲れです。毎日のちょっとした心がけで、自律神経の疲れをおさえ、快適な毎日を送ることができます。そのコツを朝・昼・晩というタイムスケールで見ていきましょう。疲労研究の第一人者で、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生にうかがいました。
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朝は、小鳥のさえずりで目覚めよう
みなさんは、朝、どのように目覚めていますか? スマートフォンのアラームを利用している人も多いことでしょう。朝が苦手な人は、つい大音量を設定しがちですが、これは自律神経が疲れるもとになります。
「寝ているところに、突然大きな音がしたら、動物は命の危険を感じて飛び起きます。人間にも、その防衛本能は残っています。眠っている間は、自律神経は副交感神経が働いていますが、朝、大音量のアラーム音が鳴ると、瞬時に交感神経優位に切り替わり、心拍も血圧も一気に10%上がるといわれています」
目覚ましのアラームが、いかに自律神経に負担をかけているか、わかりますね。
「目覚ましには、鳥のさえずりや川のせせらぎなど、自然音がおすすめです。副交感神経優位から交感神経優位へと徐々に切り替わり、スムーズに起きられます」
ランチタイムはひとりで。パワーナップをとり入れ、自律神経の疲れを回復
オフィスワーカーの場合、在社時間は8時間以上におよびます。オフィスというアウェーに長時間いることは、それだけで大きなストレスです。
「自律神経の疲れを防ぐには、安心・安全・快適な時間をこまめにとることが大事です。仕事のある日は、ランチタイムの1時間でも、ひとりの時間を作ることが疲れの抑制になります。ひとりで食事をするときは、早食いにならないように気をつけます。消化吸収は副交感神経優位ですが、副交感神経が働きすぎても、自律神経が疲れてしまいます。大食いも同じです」
なかなかひとりになれない状況であれば、“パワーナップ”をとり入れましょう。
「パワーナップは、仮眠法のひとつです。ランチを食べたあと、15時までに15分間目を閉じます。座ったままでOKです。交感神経が優位になった自律神経をリセットできます。効率よく疲れをとる方法として国内外の企業でもとり入れられています」
ただし、目をつぶっていたら、盗難に遭ったり、上司に「サボるな」と怒られてしまうような環境で実践してはダメ。安全・安心・快適な環境で行うことが大切です。
仕事に集中したら、ストレッチや呼吸法でクールダウン
長時間座りっぱなしでいると、血液の循環が悪くなり、自律神経にも必要な酸素が届かなくなってしまいます。
「仕事中は、50分間に1回は、イスから立ち上がって、トイレに行ったり、軽くストレッチをしましょう。立ち上がれないときは、その場でかかとの上げ下げをしたり、足を伸ばして足首をくるくる回したりするだけでも血流アップに効果があります」
そして、仕事に集中して、「疲れたな」と感じたら、深呼吸でブレイクタイムをとりましょう。
「深呼吸にも自律神経を整える作用があります。自律神経の中枢は、鼻腔の近くにあるため、鼻から息を吸うことは、オーバーヒートした脳を冷やす効果があるのです。ひんやりした空気を吸うことがコツです」
自律神経を整える呼吸法として注目されているのが、「4・7・8呼吸法」です。次の手順で行っていきましょう。
【4・7・8呼吸法】
(1)息を吐ききったら、4つ数えながら、息を吸う。
(2)息を止めて、7つ数える。
(3)8つ数えながら、息を吐く。
(1)~(3)を2、3回くりかえしましょう。
疲れた夜は、シャワー浴か半身浴を
疲れた日は、お風呂でお湯につかると気持ちいいと感じますよね。でも、熱いお湯はNGです。体が熱くなるのを防ぐために、汗をかいたり、体温調節機能が稼働して、自律神経はぐったり疲れてしまいます。
「ある実験で、熱いお湯に入ったあとは、血液中の疲労物質の割合が高くなることがわかっています。疲れた日に、熱いお湯に入るよりは、シャワー浴ですませたほうが無難です。しかし、ぬるめのお湯なら、副交感神経優位になり、疲労回復の効果が期待できます。40℃のお湯に8~15分、心臓から下だけを温める半身浴がおすすめです」
これまでの生活をちょっと変えるだけで、疲れがたまるのを防げることがわかりましたね。カンタンにできることも多いので、早速とり入れてみましょう。
取材・文/海老根祐子