新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でマスクは手放せなくなり、消毒も当たり前に。ウイルスを寄せつけない生活を心がけるのに慣れてきたという人も多いかもしれません。そして、健康を損ねないように、食事をきちんととることももちろん大切です。このたび米国の専門家が、今の時代にとっておきたい栄養素について研究に基づいて報告しています。参考にするとよいかもしれません。
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とっておきたい栄養素とは?
新型コロナウイルス感染症のパンデミックのなかで、どんな栄養を積極的にとっていくとよいのでしょう。米国栄養学会は、これまでに発表された研究論文を分析して、感染症を防ぐという意味から、摂取する意義が大きい栄養素について整理しています。
まず挙げているのは亜鉛。貝類に多く含まれていると知られています。このミネラルは抗ウイルス作用を持っており、免疫機能を保つために重要ですが、不足しやすい栄養素であることがわかっています。今回の学会報告によると、何とこれまでの研究から、亜鉛が不足している人は4人に1人というデータもあるのです。50年間にわたって進められてきた研究によれば、亜鉛はウイルスに対する抵抗力を強めるために重要だという結果が導き出されています。
ビタミンDは重症化を防いでくれる可能性
さらに、重要な栄養素だというのがフラボノイド。これはさまざまなフルーツや野菜に含まれていることがわかっています。強力な抗酸化物質で、炎症を抑えたり、免疫機能を改善させたりする効果が期待できます。フラボノイドが豊富な食事は、がんや神経の病気、心血管の病気も防ぐ効果を持つと考えられています。
またセレンも大切だと考えられています。セレンも抗酸化物質であり、新陳代謝を健康に保つために大切。ウイルス感染症の治療でも体重の増加、病気の進行抑制、抗ウイルス作用にとって重要であることがわかっています。セレンは鶏肉や豚肉に豊富です。
米国栄養学会のこの報告とは別に、英国アングリアラスキン大学は、ビタミンDも新型コロナウイルス感染症の症状が重くならないようにする効果を発揮している可能性があると報告しました。ビタミンDは魚やレバー、鶏卵などに多い栄養素です。栄養の不足に気をつけて、健康な食生活を送ることは感染症の予防にとっても大切だと考えられるのでしょう。
<参考文献>
ASN Journals Address Links between Nutrition and Viral Infection: Part One
https://nutrition.org/asn-journals-address-links-between-nutrition-and-viral-infection-part-one/
Ilie PC, Stefanescu S, Smith L. The role of vitamin D in the prevention of coronavirus disease 2019 infection and mortality [published online ahead of print, 2020 May 6]. Aging Clin Exp Res. 2020;1‐4. doi:10.1007/s40520-020-01570-8
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32377965
https://link.springer.com/article/10.1007/s40520-020-01570-8