CATEGORY : ヘルスケア |メンタル
「ガンバってるのに、評価されるのは私じゃない。不公平!」迷うあなたに心理カウンセラーがアドバイス!~中島輝のお悩み相談室~
勉強も部活もがんばってきた。仕事だって人より努力してる。なのに、評価されるのは隣の彼、彼女。私だって評価してほしいのに……。仕事だけではなく、いろいろな場面でこんな思いをすることもありますね。そんなあなたに対するアドバイスを、相談者の95%の気持ちが回復したと評判の心理カウンセラーであり、自己肯定感の第一人者である中島さんに聞いてみましょう!
Contents 目次
【相談】評価されない自分が悲しい
私は学生時代、勉強やクラスでの活動にも部活にも、一生懸命、とり組んでいました。仕事を始めてからは、職場でも指示通りに仕事をこなすだけでなく、チームや会社に貢献できるように工夫して業務にあたっています。人より努力もしてきました。それなのに、なぜか評価されません。上司は私よりも営業成績の悪い後輩男子のほうを評価しているように感じます。私が女性だから? 以前いた会社では、要領のよくない同僚の女性のフォローばかりしていたのに、彼女のほうがプロジェクトのリーダーに選ばれました。昔からこんなことばかりで、不公平感を感じています。いったいどうすれば人から評価してもらえるのでしょうか?
【回答】他人ではなく、あなたがあなたを認められるようになりましょう
評価されない自分が悲しい……。そういう気持ちになるのは、「評価されていなければ認められない自分像」があるからではないでしょうか。評価されることにこだわり、人よりも評価されない自分に価値はないと感じてしまっているようです。
よく「褒めて伸ばす」といいますね。これはとても大事なのですが、褒められないとやる気が出ない、ということにもつながりかねません。だからといって「叱って教育する」だけでは「叱られないとやらない」となりかねません。どちらも正解ではないわけです。評価される側に立った場合も、同じような面があると思います。大切なのは、他人の評価に振り回され過ぎないこと。自分が自分の価値を認めることで、やるべき行動を決められることです。
また、「人より努力している」ということですが、努力という個人的なことさえも人と比べてしまっている状態だともいえます。学校でも家庭でも、人と比較し、競争しなければならないような雰囲気があったのかもしれません。常に競争のまっただ中に置かれていると、自分の価値が他人からの評価に振り回されがちになります。たとえば徹底的な成果主義といわれる外資系の経営コンサルタントの方などの中にも、自己肯定感の低い方は結構いらっしゃいます。
今、あなたは自己肯定感が全体的に下がっているように思います。自分が自分のことを認められるようになるために、2つのワークを紹介しましょう。
■今回おすすめするワーク:鏡のワーク/いいことした日記
「鏡のワーク」で潜在意識にポジティブなイメージを
まず、「鏡のワーク」で自己肯定感を高めてほしいと思います。鏡のワークは、アファメーションによって自分の潜在意識を変えるワークです。あとで紹介する21個のアファメーションワードを使い、21日間かけてワークを行っていきます。アファメーションとは、自分に肯定的な言葉を投げかけることで潜在意識をポジティブな方向にもって行く手法です。
朝、鏡に向かって、ひとつのアファメーションワードを声に出して言い、耳で肯定的な言葉を受け止めてください。鏡に向かって語りかけることで、「別の誰かに語りかけている感覚」「人から自分に言われている感覚」になり、自己暗示の効果が高まります。
視覚と聴覚から肯定的な言葉を受け入れる
朝、語りかけたアファメーションワードは、夜、くつろいだ気分で紙に書き写します。すると、寝ている間にアファメーションワードを効果的に潜在意識にとり込むことができます。
こうして聴覚と視覚から肯定的な言葉を受け入れることで、潜在意識に明るい未来へのイメージがインプットされていきます。
アファメーションワードは1日目から順番になっていますが、順番通りでなければならない、ということはありません。また、脳は区切りをつけると動きやすくなりますから、月曜日の朝から始めるといいと思います。そうすれば、ちょうど3週目の日曜日の夜で完了します。ただし、忙しかったり、疲れてしまったりしてできない日があっても気にしないことです。サボってもいい、くらいの気持ちで続けましょう。
自分のしたいいことを「いいことした日記」に書いて読み返す
もうひとつのワークは、「いいことした日記」です。以前、「『親友、彼氏、男友だち、みんな大好き!“いちばん”が決められない私は薄情モノ?!』そんなあなたに送る心理カウンセラーからのアドバイスは?~中島輝のお悩み相談室~」で紹介した「誰かのいいとこ探しノート」は、あなたが気づいた、他人のいいところを書いていくものでしたが、「いいことした日記」は、あなたがその日にしたいいことを日記に書いていきます。
「お店でトイレに入ったら鏡がくもっていたから、キレイにしておいた」「駅の階段を目の不自由な方がおりていたので、何かあったら助けられるように近くでそっと見守った」。そんなふうに、だれにも気づかれない小さなことでいいのです。自分以外のだれか、何かのためにしたことを書いていきます。「いいことした日記」は、夜寝る前に、くつろいだ気分で1日を振り返って書いてみましょう。また、書いた日記は書きっぱなしにせずに読み返しましょう。
自己肯定感を高めて他人の評価にとらわれない自分になる
私たちには、人から信頼されたとき、「信頼に応えたい」「信頼してくれた人に報いたい」という気持ちになり、行動に移すという心理があります。これは自分自身にも当てはまるのです。「いいことした日記」を続けると、あなたはいいことをしている自分への信頼を感じ、自分自身の信頼に報いるための行動を起こせるようになります。そうすれば、自己信頼感、自己有用感を感じることができるようになるでしょう。
評価されることにとらわれているときには、誤った「あるべき自分像」に向かって努力しているのかもしれません。「鏡のワーク」で潜在意識をポジティブにし、「いいことした日記」で自分を信頼できるようになれば、自尊感情も高まってありのままの自分に価値があると思えるようになり、自己肯定感も高まっていきます。そうすれば、たとえ評価されなかったとしてもそれほど気にならなくなるでしょう。
「自己肯定感」は自分という大きな木のようなもの
さて、これまで何回かにわたってお答えしてきた相談を通して、さまざまな手法で「自己肯定感」を高める提案をしてきました。
「相談者の95%の気持ちが回復! 心理カウンセラーが教える自己肯定感の高め方」で、「自己肯定感は人生を支えるエネルギー」とお話ししましたが、「自己肯定感」を自分という大きな木のようなものだと考えてみてもよいでしょう。たとえば今回の相談でふれた「自尊感情」は、木の根っこのようなもの。自分の価値を認めることで、木は深く根を張ることができます。「自己信頼感」は葉っぱです。「信頼」という養分がなければ、木は生い茂ることはできません。そして「自己有用感」は木の実。自分らしく生きながらもだれかの役に立てるという経験は、人生に幸福感を与えてくれます。
だれの中にも、やわらかく伸びやかな心があり、自分にイエスと言える自己肯定感が備わっています。一方で、自己肯定感は、低いときもあれば、高いときもあります。自分にイエスと言えないときは、さまざまなワークを通して、自己肯定感を高めていきましょう。
取材・文/寺田千恵
参考書籍
『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)