歯並びの矯正、歯の色素汚れなど、歯についての悩みもいろいろありますよね。歯科医の照山裕子先生が、歯の悩みにズバリ答えます。口紅が前歯につくのには意外な理由も……。
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歯列矯正は何歳までOK? 歯の色素汚れをとるには?
Q.歯並びが悪いのが気になります。歯列矯正は何歳まで可能ですか?
A.本来、歯列矯正は子ども時代に行うのがベストですが、歯や歯ぐきが健康な状態に保たれていれば、40代でも50代でも可能です。大人が歯列矯正を行うときに、注意しなければならないのは歯周病です。歯列矯正は歯に力を加えて引っ張って、動かします。このとき、歯の骨はいったん壊され、動かした位置で再生され、固定されます。しかし、歯周病によって歯を支える骨にダメージがあると、根もとからグラグラになってしまう可能性があるため、おすすめできません。
歯並びが悪いと、かむ力が歯に均等にかからないことから、特定の歯に大きな負荷がかかりやすく、その歯はトラブルも起こりやすくなり、早い段階で歯を失うことにもつながります。歯列矯正ができない場合は、今の歯並びで歯が長持ちするように、歯周病や虫歯のリスクを回避するケアを行っていきましょう。
歯列矯正の多くは、自由診療です。20代で今は経済的に余裕がないけれど、いつか歯列矯正をしたいという場合は、歯周病対策をしっかりして、歯をいい状態に保っておくことが大切です。
Q.コーヒーやお茶で、歯が茶色くなります。防ぐ方法はありますか?
A.コーヒーやお茶で、歯が茶色くなるのは、着色汚れ(ステイン)です。カレーやワインなどポリフェノールを含んだ食べものでも、着色汚れは起こりやすくなります。毎日、歯みがきをしていても、少しずつ汚れが蓄積されていきます。
着色汚れの程度は、コーヒーやお茶を飲んだ後に水を口に含んで、軽くクチュクチュうがいをする習慣をプラスするだけでかなり違います。前歯などはティッシュで軽く拭いてもいいでしょう。私は、どちらも実践しています。着色汚れがつきにくくなるようなトリートメントケアを、歯科医院で受ける方法もあります。
Q.前歯に口紅がついてしまいます。どうすれば防げますか?
A.前歯に口紅がついてしまう原因のひとつに、口呼吸が挙げられます。口で呼吸する癖がつくと唇が閉じず、ぽかんとあいてしまうため、前歯の表面が乾いてしまいます。唾液が流れないため歯の表面がザラザラに乾くことで、口紅がつきやすくなるのです。唇をしっかり閉じて、前歯の表面が湿った状態なら、口紅がつくことはありません。
口呼吸は、ウイルスや細菌をダイレクトに体内にとり込んでしまい、感染症にかかるリスクも高くなります。日頃から、唇をしっかり閉じることを意識して、鼻呼吸を心がけましょう。
取材・文/海老根祐子