「頭寒足熱」という言葉があります。日中の暑さで体がほてり、夜、横になっても目が冴えてしまうと感じることもあるでしょう。ただ、寝汗でパジャマがいつもぬれてしまっているというときには気をつけるとよいかも。脱水や疲労感ばかりではない問題が隠れているかもしれません。海外の研究報告です。
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寝汗をかくと体にどんな影響がある?
そもそも寝ているときは汗をかきやすくなるもの。夏の暑いなかではなおさら。体調による体のほてりで寝つきが悪く、悩んでいる人もいるかもしれません。眠っている間の発汗はそれだけでも不快なものですし、汗をかき過ぎると脱水に。朝起きたときには、かえって疲れを感じることにもなりそうですが、実際に体への負担にならないのでしょうか。
このたびオーストラリアのクイーンズランド大学の研究グループは、更年期症状としての寝汗やほてりに注目して、その健康への影響について調べ、発表しました。寝ている間に汗をかくことが、心筋梗塞や脳卒中などの心臓血管疾患のリスクを高めてしまうのではないかと考えたのです。2万3365人の女性のデータを分析して、寝汗やほてりの状況、更年期との関係、心血管疾患の発生との関係について調べました。
更年期によらず病気の可能性を高める
判明したのは、寝汗をかくことが単に脱水や疲れにつながるというばかりではなく、心臓や血管の病気(心血管疾患)につながる恐れもあるということ。具体的には、寝汗の頻度が多いほど要注意。「寝汗をときどきかく」と回答していた人はそのリスクが1.22倍。「寝汗をよくかく」という人が1.29倍と、寝汗の思わぬ影響が確認できたのです。ほてりは無関係でした。
寝汗の程度も問題で、寝汗の程度が重い人では心血管疾患のリスクは1.59倍。ほてりの程度が重いと1.83倍となっていました。寝汗に加えてほてりを感じる人はなおさら心血管疾患の可能性は高まることも確認されました。症状が遅く現れた人のほうが病気のリスクは高くなることもわかりました。寝汗や夜の体のほてりに悩んでいるとしたら、健康チェックを意識的に行うように心がけるとよいかもしれません。
<参考文献>
Hot flushes and night sweats linked to 70% increase in cardiovascular disease
https://medicine.uq.edu.au/article/2020/07/hot-flushes-and-night-sweats-linked-70-increase-cardiovascular-disease
Zhu D, Chung HF, Dobson AJ, et al. Vasomotor Menopausal Symptoms and Risk of Cardiovascular Disease: A pooled analysis of six prospective studies [published online ahead of print, 2020 Jun 22]. Am J Obstet Gynecol. 2020;S0002-9378(20)30664-5. doi:10.1016/j.ajog.2020.06.039
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32585222/
https://www.ajog.org/article/S0002-9378(20)30664-5/pdf