自分の体がいつもと違うニオイがする……と感じたら、疲れやストレスがたまっているのかもしれません。ニオイは健康のバロメーター。疲れやストレスがたまることで発生する疲労臭、ストレス臭の対策について、『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』の書著で、ニオイに詳しい桐村里紗先生にうかがいました。
Contents 目次
ぐっすり眠って、疲れをとって、におわない体に
疲労臭は、汗にアンモニアが混じり、体からツンとしたニオイがしてきます。肝機能の低下により、体内や腸内で発生したアンモニアを肝臓で処理しきれなくなり、汗にアンモニアが排せつされることで起こります。
疲労臭対策は、ズバリ疲れをとることです。その方法として、「もっとも有効なのが睡眠です」と桐村先生。
「夜ぐっすり眠るには、朝に太陽の光を浴びることが大切。それによって、体内時計がリセットされ、15時間後には睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されるようになり、睡眠サイクルが整います」
熱帯夜は、「エアコンをじょうずに使って、快眠の環境づくりを」とアドバイス。「熱帯夜は、熱中症のリスクも高まるので、エアコンをガマンしないで。除湿モードにすると、汗が蒸発して、心地よく眠れます」
「疲労臭が発生するのは、よほど疲れている証拠です」と桐村先生は指摘。疲労臭対策には、疲れを招く生活パターンを見直すことも大切といえるでしょう。さらに、「食べ過ぎ、飲み過ぎを控えて、内臓も休める必要があります」とアドバイスします。
ゆったり呼吸で、ストレスをリリース
また、ストレス臭対策には、ストレスリリースが不可欠です。「現代人は、自律神経が交感神経優位になりがちです。リラックスして副交感神経を高めることが大切。自分なりのリラクゼーション法を見つけましょう」
桐村先生がすすめるのは、呼吸法です。
「呼吸は、意図的に交感神経優位から副交感神経優位にスイッチできる、唯一の方法です。緊張状態にあるときは、呼吸が速く、かつ浅くなり、3秒間程度の短い時間で吸って吐いてをくり返しています。それを5秒間で吸って、5秒間で吐くというように1回の呼吸に10秒間かけます。呼吸をゆっくり行うことで、高ぶった交感神経を落ち着かせることができます」
今や、スマートフォンは私たちの生活に欠かせませんが、「気づかないうちにスマホストレスにさらされている」と桐村先生は指摘します。
「スマートフォンのディスプレイが発するブルーライトを見過ぎると、いつまでも交感神経から副交感神経へとスイッチが切り替わりません。情報ストレスから解放されるためにも、就寝2時間前にはスマートフォンを見るのをやめて、本を読むなどしてゆったり過ごしましょう」
ニオイが発する自分へのサインをきちんと受け止めて、ストレスや疲労を手放していきたいですね。
取材・文/海老根祐子