妊娠したらアルコールはNG。でも、妊娠に気づくのはたいてい数週間経ってからですから、その間は知らずにお酒を飲むこともありがちです。このたび、その妊娠初期(5〜10週)にお酒を飲んでいると、自然流産のリスクがしだいに高くなるという報告がありました。お酒の種類に関係なく、少し(週に1杯未満)でもリスクが上がるそう。妊娠を希望するなら要注意です
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何週目にお酒をやめたか調査
ほとんどの女性が妊娠に気づくとお酒をやめますが、妊娠中の飲酒には問題があることがわかっています。妊娠中の飲酒によって生まれてくる赤ちゃんに体重の減少、顔面などの奇形、脳の障害などを特徴とする「胎児性アルコール症候群」が起こる可能性があるのです。大量飲酒者の女性アルコール依存症の子どもを対象とした調査では、30%に胎児性アルコール症候群が確認されたと報告されています。
今回、米国の研究グループが着目したのは、お酒をやめるタイミングです。妊娠に気づく前はお酒を飲んでいる女性が半数に上るという研究結果があるなか、妊娠初期のどの週にやめるのかという中止の時期と20週未満の自然流産との関連性を調べました。米国8か所の都市から、妊娠初期の女性を募り、飲酒について量や種類、頻度、やめた時期などについて詳しく調査しています。
タイミングが遅れるほどリスクアップ
お酒をやめたタイミングと流産との関連性を分析して見えてきたのが、妊娠5〜10週(前回の生理開始日から数えて)にお酒を飲んでいると、流産のリスクが高くなることでした。
およそ5400人の参加者のうち、約半数が妊娠初期にお酒を飲んでおり、やめた時期としては29日目がいちばん多く見られました。そして追跡調査の結果、12%で自然流産が発生したとわかりました。妊娠初期の期間のうちお酒をやめる時期が遅くなればなるほど、お酒を飲んでいなかった人に比べて毎週8%ずつリスクが上がり、9週目で最も高くなりました。さらに、このリスク増加はお酒の種類や量と無関係で、週に1杯未満でも4杯以上でも、大量に飲んだことがあってもなくても、同じ結果でした。また、最も多かった29日目までお酒を飲んでいた人は、飲んでいなかった人に比べて、流産のリスクが37%高くなりました。
アルコールが妊娠初期に悪影響を与える仕組みはまだよくわかっていませんが、研究グループは今回の結果から、胎児が最も急速に発達する初期にお酒を飲んでいる人が多い点、また少量でもリスクは同じである点を特に指摘しています。そして、早く検出できる家庭用の妊娠検査キットを利用すること、さらに、妊娠したい場合はお酒をやめることが重要だと提唱しています。
<参考文献>
女性の飲酒と健康(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-04-003.html
胎児性アルコール症候群(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-015.html
Miscarriage risk increases each week alcohol is used in early pregnancy
https://news.vumc.org/2020/08/10/miscarriage-risk-increases-each-week-alcohol-is-used-in-early-pregnancy/
Sundermann AC, Velez Edwards DR, Slaughter JC, et al. Week-by-week alcohol consumption in early pregnancy and spontaneous abortion risk: a prospective cohort study [published online ahead of print, 2020 Jul 13]. Am J Obstet Gynecol. 2020;S0002-9378(20)30725-0. doi:10.1016/j.ajog.2020.07.012
https://www.ajog.org/article/S0002-9378(20)30725-0/fulltext
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32673615/