ウォーキングやランニング、ダンス、ヨガなど体に酸素をとり入れてカロリーを燃やす有酸素運動。ダイエットばかりではなく全身の健康にもつながります。さらに、このたび明らかになった海外の研究によると、有酸素運動が体の奥、肝臓にたまる脂肪を減らす効果もあるといいます。運動の効果は幅広いようです。
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有酸素運動の効果は体の内部にも?
有酸素運動は、酸素を使いながら体内の糖質や脂質を燃やすことのできる運動です。筋肉への負担が強くはなく、脂肪をゆっくりと燃料していくので、体脂肪を減らす効果が期待できます。たとえば、プールでの水泳、ウォーキング、サイクリング、ハイキングなどがあり、脂肪をより多く減らせると考えられていますが、減らせる体脂肪は、じつはお腹まわりのほか、見た目に直接つながるものにとどまらないようなのです。
このたびアイルランドのダブリン大学などの研究グループが注目したのは、肝臓についている脂肪です。肥満になると、肝臓の内部に脂肪が蓄積してしまう脂肪肝(代謝異常を伴う脂肪性肝疾患)を患うことがあります。こうした人に有酸素運動に取り組んでもらい、脂肪肝の状態が改善するのかを調べました。
研究グループは、脂肪肝が見られる24人を有酸素運動に取り組むグループと、取り組まないグループに分けて、肝臓の脂肪にどのような変化が現れるのかを調べました。運動に取り組む期間は12週間。さらに12週間後と52週間後にもチェックを行なっています。
肝臓の状態が改善
こうして確認されたのが、肝臓の脂肪の減少効果でした。肝臓がかたくなる線維化や肝臓の細胞が脂肪を含んでしまって丸く変形する状態が解消されることが確認されました。つまり、脂肪肝を改善することになります。研究では、最大酸素消費量が17%上昇し、カロリーの燃焼が進みやすくなり、新陳代謝の改善も確認できました。効果は運動をやめると12週後、52週後には残念ながら保たれていなかったのですが、運動を継続していれば、脂肪を燃やすことはできそうです。BMIや腹囲、体脂肪は低下し、ダイエット効果も確認されました。
12週間にわたって有酸素運動をすることで、ダイエット効果はもとより、肝臓が健康になる変化が見られるという結果。肝臓は体内の毒素を解毒したり、エネルギー源の代謝をしたり幅広い機能を担う大切な臓器。その健康を保てることになるわけで、有酸素運動は健康にも美容にも幅広い効果を期待できるといってよさそうです。
<参考文献>
エアロビクス / 有酸素性運動(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-072.html
O’Gorman P, Naimimohasses S, Monaghan A, et al. Improvement in histological endpoints of MAFLD following a 12-week aerobic exercise intervention [published online ahead of print, 2020 Jul 27]. Aliment Pharmacol Ther. 2020;10.1111/apt.15989. doi:10.1111/apt.15989
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32717123/
Aerobic exercise could have the final say on fatty livers
https://www.tcd.ie/news_events/articles/aerobic-exercise-could-have-the-final-say-on-fatty-livers/