スマートフォンやパソコンに関連してよく問題になるブルーライトですが、街中でも照明が増えるにつれて増加傾向だそう。目から入らなくても体には影響が及び、体内時計の乱れは乳がんにつながる恐れがあるなど、さまざまな研究結果が出ています。このたび夜にブルーライトを多く浴びていると大腸がんのリスクが高くなるという報告もありました。
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乳がん/前立腺がんもリスクアップ
夜間の仕事に就いている人では、人工光、特にブルーライトと睡眠障害や肥満、がんなどとの関連性が心配されるようになっています。WHO(世界保健機関)国際がん研究機関によると、夜勤の仕事は特に乳がん、前立腺がん、大腸がんに関連する可能性があるそう。こうした夜間の人工光に照らされる影響は、最近では夜間に働く人だけに限らないと考えられるようになっています
実際、スペインの研究所や大学などによる研究グループが夜勤の人を除いた一般的な人口集団を対象に、人工光、特にブルーライトと乳がん及び前立腺がんとの関連性を調べたところ、そうした病気のリスクが高くなることを確認しています。
このたび同じ研究グループが、今度は人工光と大腸がんとの関連性を前回の研究と同じ手法で調べました。スペインで行われているがん研究のデータから、バルセロナとマドリードに住む大腸がんを患った660人と無作為に選ばれた約1300人を対象としてブルーライトに接する機会と病気との関連を分析しました。浴びる光の程度については、室内の人工光はアンケート、屋外の光は国際宇宙ステーションからの映像から分析しました。
ブルーライトだけに問題を確認
ここから見えてきたのが、ブルーライトを最も多く受けていた人たちは、少ない人たちに比べて、大腸がんになるリスクが60%高いということです。食事や睡眠、家族のがんなどについて調整しても同じ結果でした。ブルーライトではなく全波長の光では、関連性は見られませんでした。
研究グループは、夜間に屋外に外出をしたり、屋内でブラインドを閉めずに夜間のブルーライトを浴びたりした影響によって、こうした病気のリスクが上がった可能性があると推定しています。夜間にブルーライトを受けることは、その光の波長しだいで脳のなかにできるホルモンの一種「メラトニン」の生成や分泌を減少させる可能性があると考えられています。こうした光の影響については研究がさらに進んでいくと見られますが、宵っ張りでついつい人工の光を浴びてしまったり、夜間にスマートフォンやタブレットを閲覧したりする時間が多い生活習慣を送っている人は気をつけておくとよいかもしれません。
<参考文献>
Night-Time Exposure to Blue Light Associated With Increased Risk of Colorectal Cancer
https://www.isglobal.org/en/-/la-exposicion-nocturna-a-la-luz-azul-se-asocia-con-un-mayor-riesgo-de-cancer-colorrectal
Garcia-Saenz A, de Miguel AS, Espinosa A, et al. Association Between Outdoor Light-at-night Exposure and Colorectal Cancer in Spain. Epidemiology. 2020;31(5):718-727. doi:10.1097/EDE.0000000000001226
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32639250/