新型コロナウイルス感染症はメンタルにどのような影響を及ぼすのでしょうか。日本国内でも「コロナうつ」がいわれることもあり、メンタルへの影響が心配されています。海外の研究でも新型コロナウイルス感染症に伴うストレス、不安症、うつ病への影響が調べられています。リスクを知って心の落ち込みが自分で対処できないときには医療機関の受診など考えてもよいかもしれません。
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コロナで心にはどんな影響が?
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、多くの人のメンタルヘルスに大きなインパクトを及ぼしていると考えられています。その関係性については見えづらい部分もあり、憶測が先行しているところもありそうです。実態を正しく把握して、早期に適切な対処を行うことが求められており、海外ではこうしたメンタルヘルスの問題を把握しようという研究が続けられています。
そのひとつとして、この9月には中国の研究グループが、医療従事者と一般の人々へのパンデミックの精神面の影響について世界の研究をまとめて分析をしています。17か国で行われた62の研究から16万2639人のデータを抽出して、パンデミックと不安症やうつ病との関係について調べました。
感染予防の対策が大切
研究から判明したのは、パンデミックによって不安症やうつ病のリスクが上昇するということです。具体的には不安症のリスクは33%、うつ病のリスクは28%それぞれ上昇するという結果になりました。とりわけもともとこうしたメンタルの問題を抱えていた人や新型コロナウイルスの感染を受けた人のリスクが高くなっていました。医療従事者と一般の人々のリスクは差がないという結果で、医療現場にいるかどうかによらずコロナのメンタルへの影響は同じように現れると判明しました。メンタルヘルスの問題が起こりやすいのは、女性、看護師、社会経済的に低い地位に置かれている人、新型コロナウイルス感染症を起こすリスクがもともと高い人、社会的に孤立をしている人でした。
もうひとつ、7月にイランの研究グループも同様に5つの研究から9074人のデータを分析しています。やはり中国の研究に近い結果となっており、ストレスは29.6%高まると報告。不安症やうつ病についても約3割のリスク上昇があると報告していました。パンデミックのなかで精神的な問題が起こりやすい状況があると考えられ、メンタルの問題に注意して、自分でも対処できないようなときには臆せず医療従事者などへの相談を考えるとよいかもしれません。
<参考文献>
Salari N, Hosseinian-Far A, Jalali R, Vaisi-Raygani A, Rasoulpoor S, Mohammadi M, Rasoulpoor S, Khaledi-Paveh B. Prevalence of stress, anxiety, depression among the general population during the COVID-19 pandemic: a systematic review and meta-analysis. Global Health. 2020 Jul 6;16(1):57. doi: 10.1186/s12992-020-00589-w. PMID: 32631403; PMCID: PMC7338126.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32631403/
Luo M, Guo L, Yu M, Jiang W, Wang H. The psychological and mental impact of coronavirus disease 2019 (COVID-19) on medical staff and general public – A systematic review and meta-analysis. Psychiatry Res. 2020 Sep;291:113190. doi: 10.1016/j.psychres.2020.113190. Epub 2020 Jun 7. PMID: 32563745; PMCID: PMC7276119.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32563745/