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CATEGORY : ヘルスケア |腸活

大腸からアプローチ! 専門家が教える「秋冬の感染症対策」&「免疫強化のお手軽レシピ」

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セミナーに登壇した石原にいな先生とリリコさん

深い関わりのある「大腸」と「免疫」。昨年設立された「大腸劣化」対策委員会では、免疫や腸内細菌の専門家を招いて、これからの秋冬の免疫力強化法についてオンラインセミナーを実施しました。基調講演のあとにはタレントのLiLiCoさんのトークショーも開催され、免疫力アップのためのレシピも披露されました。セミナーのなかから、感染症対策に役立つ最新の研究結果をピックアップしてお伝えしていきます。

Contents 目次

この秋冬の免疫強化のポイント

強いIgAをつくるための食事をまとめた図表

秋冬の感染症対策として、まず大切なのは侵入する敵の量を減らすこと。

「マスクやうがい、手洗いは100%ウイルスを除去できないとしても有効です。感染症にかからないためには、粘膜から侵入するウイルス量を減らすことを心がけましょう」(東京大学教授・新藏礼子先生)

皮膚よりも薄い粘膜はウイルスや菌が体内に侵入する経路になります。鼻やのど、そして腸も侵入経路のひとつ。腸に免疫細胞が集中しているのは、表面積が広く、外敵(異物)が侵入しやすいからです。

「腸内では生体防御の最前線として『粘膜免疫』を発達させてきたのです」と新藏先生。

腸の粘膜免疫で重要な働きをするのが、IgA(免疫グロブリンA)。

「IgAは毒素などを排除する抗体で、近年の研究で抗原特異性が広く、さまざまな異物に対応できることがわかってきました。IgAを強化するには腸内環境をよくしておくことが欠かせません」(新藏先生)

加えてIgAの産生には短鎖脂肪酸が重要とのこと。短鎖脂肪酸というのは、ビフィズス菌などの善玉菌が食物繊維やオリゴ糖をエサに大腸でつくる代謝物のこと。全身のエネルギー源になり、ダイエットや長寿のカギともいわれています。

「粘膜を強くするためには、短鎖脂肪酸を増やすこと。伝統発酵食やホールフードなどバランスのよい食事、そしてさまざまな食品や成分をとり入れて、免疫をトレーニングしましょう」(新藏先生)

伝統発酵食はいろいろありますが、自分のお腹にあったものを選ぶのがポイント!

大腸から免疫力を高めるレシピ

セミナーでは、イシハラクリニック副院長の石原新菜先生から免疫力アップのためのレシピも2つ披露されました。レシピ開発は栄養士の若宮寿子さんです。ふだん、ご夫婦で健康にも気を使っているというLiLiCoさんも「主人に作ってあげたい!」と注目していました。

根菜のスパイシーヨーグルトソース

根菜のスパイシーヨーグルトソース

かぶやにんじん、ごぼう、ブロッコリーなどの温野菜に、スパイシーヨーグルトソースをディップしていただきます。

【材料】 (2人分)
かぶ 2個 (120g)
にんじん 60g
ごぼう 60g
ブロッコリー 50g

<スパイシーヨーグルトソース>
ビフィズス菌入りヨーグルト 100g
◎しょうが(みじん切り) 10g
◎にんにく(みじん切り) 2g
◎みりん 大さじ1
●顆粒コンソメ 小さじ1
●マヨネーズ 20g
●カレー粉 小さじ1

【作り方】
(1)かぶは葉のつけ根を少し残し皮をむき、6等分のくし形に切る。にんじんは厚さ5mmの斜め切り、ごぼうは小さめの乱切りにする。
(2)耐熱皿に(1)の野菜を盛り、ラップをかけ600wの電子レンジで6分加熱する。
(3)ブロッコリーは小房に分け、ラップで軽く包み、600wの電子レンジで1分加熱する。
(4)スパイシーヨーグルトソースを作る。耐熱のボウルに◎の材料を入れ600wのレンジで40秒加熱する。さらに●の材料とビフィズス菌入りヨーグルトを加え、よく混ぜる。

野菜を皿に盛り、スパイシーヨーグルトソースを添えてでき上がり! ソースは、ビフィズス菌入りヨーグルトと、善玉菌のエサとなる根菜やしょうがを加えています。根菜は食物繊維豊富で温め効果があり、さらににんじんやブロッコリーのビタミン類は免疫力の強い味方に!

サーモンのみそヨーグルトソース

サーモンのみそヨーグルトソース

小麦粉をまぶしてサーモンを焼きムニエルに。なめこをトッピングしたみそヨーグルトソースをかけます。

【材料】 (2人分)
サーモンの切り身 2切れ
塩 少々
こしょう 少々
小麦粉 適量
オリーブ油 大さじ1

<みそヨーグルトソース>
ビフィズス菌入りヨーグルト 100g
なめこ 15g
◎薄口しょうゆ 小さじ2/5
◎水 小さじ1
◆みそ(信州みそ) 小さじ1
◆塩 少々
◆こしょう 少々
パセリ(みじん切り)  少々

<つけ合わせ>
ベビーリーフ 適量
ミニトマト 4個

(1)サーモンの両面に塩、こしょうをふって10分おき、小麦粉を全体にまぶす。
(2)フライパンにオリーブ油を中火で熱し、サーモンの両面をこんがり焼く。
(3)みそヨーグルトソースを作る。耐熱容器になめこと◎の材料を入れ600wのレンジで40秒加熱する。
(4)ボウルにビフィズス菌入りヨーグルトと◆の材料、(3)の煮汁を入れよく混ぜる。
(5)皿に焼いたサーモンを盛り(4)のソースをかけ、(3)のなめことパセリを散らす。ベビーリーフとミニトマトを添えてでき上がり。

ビフィズス菌入りヨーグルトとみそのダブルの善玉菌で、腸内環境を整えます。なめこと野菜が善玉菌のエサに。

大腸からの免疫力アップのポイントは、「ビフィズス菌などの善玉菌とエサをセットでとること。いろいろな食材から、いろいろな栄養をバランスよくとるといいです」と石原先生。

今年は新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの2つのリスクに備える初めての冬ですね。内側からの免疫力の要は腸内環境となりそうです。

文・写真/庄司真紀

【プロフィール】

新藏礼子
東京大学 定量生命科学研究所 免疫・感染制御研究分野 教授
京都府生まれ。86年京都大学医学部医学科卒業。同年麻酔科臨床医として病院勤務。92年京都大学大学院医学研究科分子生物学大学院生、続いて研修員。99年米国ハーバード大学こども病院留学。2003年京都大学大学院医学研究科分子生物学、寄附講座免疫ゲノム医学助手、講師、准教授。2010年長浜バイオ大学バイオサイエンス学部バイオサイエンス学科生体応答学教授。2016年奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科応用免疫学教授。2018年東京大学分子細胞生物学研究所(現・定量生命科学研究所)免疫・感染制御研究分野教授。2児の母。

石原新菜
イシハラクリニック 副院長 健康ソムリエ
1980年長崎県生まれ。小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察のほか、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。日本温泉気候物理医学会会員。2児の母。

LiLiCo
映画コメンテーター /タレント
1970年 スウェーデン生まれ、18歳で来日。TBS「王様のブランチ」に映画 コメンテーターとして出演、フジテレビ「ノンストップ!」、J-WAVE「ALL GOOD FRIDAY」ほか出演番組も多数。声優・女優・ナレーションなど、マルチに活躍する映画コメンテーター。

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