ダイエットやフィットネスで気になるウエストサイズなど体型の問題。洋服がキツくなるなど、これほどわかりやすいマイナスもないかもしれません。こうした体型は健康に関わる問題にもなります。海外の研究から、約250万人のデータに基づいて、体脂肪や体型と健康リスクとの関係を分析した結果が出てきました。単純に、細いから安心というわけでもないという結果です。
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体型は健康にも関係する?
体型のなかでもウエストサイズは、内臓脂肪の目安にされます。たとえばメタボリックシンドロームの診断基準として、ウエストサイズが男性であれば85cm以上、女性であれば90cm以上という項目が設定されています。ウエストの太さはそのまま内臓脂肪の蓄積と見なされて、病気につながると考えられているのです。
このたびイランやカナダの研究グループは、単純に体型の数字が、健康にどう影響するのかを約250万人もデータに基づいて分析し、発表しました。過去の9万8745もの研究から選択された72の研究から、252万8297人のデータに基づいて、こうした体型の数字と死亡率との関係について分析したのです。
体型の数字は、ウエスト周囲、ヒップ周囲、太もも周囲に加えて、これらの比率、さらにヒップ周囲と身長から計算する新肥満度指数(BAI)、体型指数(ABSI)などを調べています。
体脂肪率にかかわらず体型は問題に
こうした分析によってわかったのは、単純に太いからダメ、細いからよいという問題でもないということです。
体型の数字を見ると、太いとよくないのは、ウエストです。たとえば、ウエストは10cm増えると11%死亡リスクが上昇するという関係です。逆に、ヒップ周囲と太もも周囲はサイズが上がるほど、死亡リスクは低下する結果になりました。ヒップ周囲は10cm大きくなると死亡リスクは10%低下、太もも周囲は5cm大きくなると18%低下する関係です。こうした関係から、ヒップに対するウエスト比、身長に対するウエスト、太ももに対するウエストの数字は増えるほど死亡リスクが高くなります。体脂肪と体格指数も増えるほどに死亡率は高まる関係がありました。
さらに詳しく見ると、ウエスト周囲は増えるほど急激に死亡率が上昇する一方で、細すぎると逆に死亡率がやや上がる関係があるほか、新肥満度指数は太すぎても細すぎても死亡率が上昇するという関係が見られました。
健康的にダイエットするにはどういう指標を頼りにすればよいのか、考え方も進化しているといえるかもしれません。
<参考文献>
Jayedi A, Soltani S, Zargar MS, Khan TA, Shab-Bidar S. Central fatness and risk of all cause mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of 72 prospective cohort studies. BMJ. 2020 Sep 23;370:m3324. doi: 10.1136/bmj.m3324. PMID: 32967840.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32967840/
https://www.bmj.com/content/370/bmj.m3324