日本女性の初潮は50年前と比べると早くなっており、最近は12~13歳となっています。初潮には生殖器官の発達や体脂肪が関係しますが、そのほかにも全身の成長に関係していると考えられます。このたび初潮の時期は心臓の健康状態にも影響を与えるという分析結果が出ています。特に若い女性では影響が現れやすいそう。自分自身の健康を考えるヒントにするとよいかもしれません。
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米国で2万人以上のデータを分析
日本では大阪大学人間科学部の研究グループが継続的に、日本女性の初潮年齢についての調査を続けています。この研究によると、明治時代の初潮年齢は14~15歳でしたが、昭和の時代に徐々に低年齢化が進み、平成に入ったころには12~13歳が定着するようになりました。100年で2歳ほど早くなったことになります。
最近、成人の健康に影響する要素として、初潮年齢があるのではないかと考えられるようになっています。高血圧や糖尿病など、心臓や血管の健康に関係した病気のリスク要素のなかに、子ども時代から始まるものもあると考えられ、そのひとつが初潮年齢となっています。
このたび今回、米国、フロリダ大学の研究グループは心臓に注目して、心臓の全般的な健康状態と初潮年齢との関係を調べてみました。
健康状態は「ライフズ・シンプル7(LS7)」という「禁煙」「運動」「食事」「BMI」「血圧」「コレステロール」「血糖値」の7項目から割り出すスコアで評価しました。米国心臓協会が提唱している方法で、スコアが高いほど心臓が健康ということになります(最高が14ポイント)。このスコアが4より高い場合を、心臓と血管の健康状態がよいとみなしました。米国で毎年行われている全国健康栄養調査から女性2万人以上のデータを分析すると、スコアが4より上だった人は全体の約11%でした。
初潮が遅いとプラスの影響も
こうした分析からわかったのが、初潮が早かった女性はLS7のスコアが低いことです。さらに、初潮が遅かった女性にスコアが高い人が多いことも判明しました。
初潮が遅いとスコアが高いという関係が見られたのは25〜44歳と幅広い年齢幅で分析した場合。一方、25〜34歳の30歳前後のグループに限って見た場合、初潮が早いとスコアが低めであるという関係性が見られました。年齢グループのとり方によって影響が出たり出なかったりするのですが、初潮が早い場合、30代前後の心臓の健康に関係したスコアが悪くなる傾向があるようです。
この結果から、初潮が早いと、特に若い女性で心臓と血管の健康状態が低下するのではないかと研究グループは指摘しています。さらに研究も必要になりそうですが、研究グループは体脂肪が影響している可能性を推測しています。初潮が12歳以前だというときは、禁煙、運動、食事、BMI、血圧、コレステロール、血糖値の7項目に特に気をつけるとよいかもしれません。
<参考文献>
発達加速現象に関する進化発達心理学的研究
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22330189/
Women’s Heart Health Linked to Age at First Menstrual Period
https://www.menopause.org/docs/default-source/press-release/age-at-menarche-and-heart-health-9-9-20.pdf?sfvrsn=b03f64da_2
Zheng Y, Wen TS, Shen Y, Hu H. Age at menarche and cardiovascular health: results from the NHANES 1999-2016 [published online ahead of print, 2020 Sep 7]. Menopause. 2020;10.1097/GME.0000000000001653. doi:10.1097/GME.0000000000001653
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32898020/