なかなか終わりの見えないコロナ禍で、不眠症やうつ症状の増加なども報告されています。ストレスと不安感がメンタルヘルスによくない影響を与えている可能性がありますが、このたび海外の研究からは、思わぬ影響についても報告が。自分の体型をどうとらえているか「ボディイメージ」の不満が男女ともに募っているといいます。女性ではもっとやせたい、男性では筋肉をつけたいと思う人が増えているそうです。
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英国の500人にアンケート調査
新型コロナウイルス感染症がメンタルに及ぼす影響はさまざま。ウイルス自体にも怖さを感じます。そのうえ、伝染を防ぐためのロックダウンやソーシャルディスタンスなどの対策のわずらわしさ。日常生活が変わり、不安感やストレスは増加の一途。それは研究からも明らかです。
こうしたなか、英国やマレーシアの大学による研究グループは、不安感やストレスとボディイメージとの関連について調べました。過去には、日常的なストレスが体型不満につながるという報告や、心配性の人は体型不満になりやすいという報告も。
今回対象としたのは、英国のおよそ500人。オンラインアンケートにより、コロナ関連のストレスと不安、ネガティブなボディイメージ(体型不満に加えて、女性ならやせ願望、男性なら筋肉願望)がどれくらい強いか、答えてもらいました。
アンケートでは、ふだんの生活におけるストレスはじめ、大きなストレスになるような出来事、不安を感じやすい性質かどうかについても調査し、コロナ関連のストレスと不安による影響の度合いを分析しました。
日常生活の変化がボディイメージにも影響
こうして判明したのは、コロナ関連のストレスと不安感のせいで、ネガティブなボディイメージが強くなっていることです。
女性で募っていた感情は「もっとやせたい」という願望。不安感のために体型不満につながっていると考えられました。男性では「もっとたくましくなりたい」という願望で、体脂肪に対する不満が増しているという結果に。ふだんのストレスや個人の性質などの要素を考慮しても結果は変わりませんでした。
伝染を防ぐために世界各地でロックダウンが行われて、テレビやインターネット画面を見る機会がたしかに増加。SNSやメディアを通してやせたモデルや引き締まった体のアスリートといった理想像を目にすることが増えています。それに対して実際には体を動かすことが減り、自分の体型にネガティブなイメージを抱きがちになっていると研究グループは指摘しています。
さらに、日常生活の変化も影響しているよう。心が乱され、これまで気にならなかった自分の体型に意識がいくように。「コロナ太り」だと焦ってダイエットをする人も多いようですが、やり過ぎには要注意です。
<参考文献>
COVID-19 anxiety linked to body image issues
https://aru.ac.uk/news/covid-19-anxiety-linked-to-body-image-issues
Swami V, Horne G, Furnham A. COVID-19-related stress and anxiety are associated with negative body image in adults from the United Kingdom. Pers Individ Dif. 2021 Feb 15;170:110426. doi: 10.1016/j.paid.2020.110426. Epub 2020 Oct 7. PMID: 33046945; PMCID: PMC7539826.
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0191886920306176
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33046945/