毎日ぐっすり眠れていますか? 十分に睡眠時間をとっているつもりでも、疲れが回復しないようなら眠り方の見直しが必要かも。今回は、質のいい睡眠がとれる方法について、内科医の工藤孝文先生に教えていただきます。疲れやストレスがたまっている人は必見です!
Contents 目次
寝ても疲れがとれないなら… 睡眠習慣を見直そう!
最近、「十分に寝たはずなのに疲れがとれない」と悩んでいる人が増えています。休息をとっても疲れから回復できないようなら、それはストレスなどによる精神的な疲れである“脳疲労”になっている可能性があります。
脳疲労の回復のためには、睡眠の質にこだわって、ぐっすりと眠ることが大切です。ところが、私たちがしっかり眠ろうと思ってやっていることの中には、逆効果になっていることも多いのです。
そんな睡眠習慣を見直して、ぐっすり眠ることができれば、脳疲労の解消につながります。気力や体力がアップして、疲れにくい体になることができますよ。
今回は、よくやりがちな睡眠習慣のNGや、睡眠の質がアップするおすすめの行動をご紹介します!
「週末の寝だめ」は休み明けがツラくなる!?
平日は忙しくて睡眠不足になってしまう人も多いと思います。すると、「週末にたっぷり寝だめをしてとり戻そう!」と考えてしまいませんか?
「休日の朝は、心ゆくまで寝坊をしたくなりますが、その習慣はNG! それではますます休み明けの体が重くなってしまいます。
私たちの体の中にある“時計遺伝子”と呼ばれる体内時計は、1日が24.5時間に設定されています。つまり、本来の1日が24時間であるのに対して、毎日30分ずつズレが生じているのです。
このズレをリセットしてくれるのが、太陽の光です。毎朝同じ時間に朝日を浴びれば、体内時計がリセットされて、健康的な1日を過ごすことができるのです。
ところが、朝起きる時間がバラバラになり、体内時計のズレを修正できないまま過ごしていると、寝ても疲れがとれないばかりか、病気までも引き起こしてしまいます。
休日も起きる時間はいつもと同じにするのが正解。朝、起きたら、まずカーテンを開けて、たっぷりの朝日を浴びましょう!」(工藤先生)
美容のための「長風呂」が眠りの妨げに!?
「お風呂時間の過ごし方でも眠りの質は変えられます。今日はしっかり眠りたい、という日には、安眠のためのバスタイムを試してみてください。
入浴は、寝る時間の1時間前が理想のタイミングです。入浴することでいったん上がった体温が、寝る時間に向かって徐々に下がっていくことで、脳の温度も下がり、深い眠りに入りやすくなります。
お湯の温度が熱すぎるのは、脳が覚醒してしまうのでNG。また、美容のために長風呂をするのも、体温が上がりすぎてしまうため、眠りの質を高めるのには逆効果の場合も。体温に近い38度前後のお湯に、胸まで10分程度浸かるのがおすすめです」(工藤先生)
「寝る前のスマホ」が睡眠によくない理由とは
ベッドに入ってからのスマホがやめられない、という人はとても多いはず。ところが、スマホのモニターが発するブルーライトの光は、睡眠に悪影響をもたらすのです。そのメカニズムをご説明しましょう。
「人間は夜になると、脳内で睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されることで眠気を感じます。このメラトニンは、深い眠りを持続させるのにも必要なホルモンです。
しかし、夜にスマホのブルーライトの光を見ると、脳は昼間だと勘違いして、メラトニンの分泌をストップしてしまうのです。その結果、ぐっすり眠れなくなり、疲れが蓄積してしまうのです。
メラトニンが分泌される夜10時を過ぎたら、スマホを見ないようにしましょう! どうしてもやめられない、という人は、スマホの画面の色を暖色系に変え、光の強さも暗めの設定にしましょう。眠りへの悪影響を少なくすることができますよ」(工藤先生)
食べすぎを防ぎたいなら「7時間睡眠」が◎
ダイエットを心がけている人にも、睡眠はとても大切です。睡眠不足と肥満の意外な関係についてご紹介します。
「睡眠が不足すると、食欲を抑えるホルモンであるレプチンが減少するので、食欲が増進してしまいます。食べすぎを防ぎたいなら、7時間前後の睡眠時間をとるようにしましょう。
忙しくて連続で7時間の睡眠時間をとるのが難しいなら、細切れでも大丈夫。日中に20分の仮眠をとるなどして分割睡眠を心がけ、トータルで7時間眠ることができればいいのです。
ただし、寝すぎは禁物。8時間以上の睡眠は寿命を縮めるという説もあるので注意しましょう」(工藤先生)
いい眠り方を身につけて、1日の疲れやストレスを、じょうずにリセットしてくださいね!
取材・文/ 牧内夕子