本格的な冬を迎えました。気温も湿度も下がり、手荒れに悩んでいませんか? 今シーズンは、新型コロナウイルス感染症対策で、手洗い・消毒の回数も増えて、「もう手がガサガサ!」 という人も多いことでしょう。感染症対策を行いながら、冬の手荒れから手を守るには、どうすればよいのでしょうか。withコロナ時代の手荒れ対策について、皮膚科専門医・アレルギー専門医で、千里中央花ふさ皮ふ科院長の花房崇明先生に聞きました。
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手洗いとアルコール消毒、どちらかだけでいいの?
新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症対策をしながら、手荒れを予防するハンドケアは、どのようにすればよいのでしょうか。まずは、手洗いから見直していきましょう。
感染症対策で、手洗いと消毒の両方を行う人も多いかもしれません。花房先生は、「個人的な意見」としながら、「医師が手術の際にオペ室に入る前には、消毒よりも手洗いをしっかりすることを考えれば、感染症対策で、手洗いが優先でいいのではないか」と話します。
「手洗いの考え方としては、在宅時など、すぐに手洗いができる状況にあれば、せっけんでしっかり手洗いを行います。外出先などで手洗いができない状況にあるときは、アルコール消毒を行うといいと思います」
手を洗うときのハンドソープには、液体や固形、泡タイプなど、さまざまな種類がありますが、花房先生がすすめるのは、「泡タイプ」です。
「泡タイプは、手を洗うときに発生する摩擦による刺激も緩和できます。液体の場合は、高濃度の洗浄剤が直接、皮膚についてしまうことが刺激となり、手荒れのリスクになります。また、液体や固形のせっけんは、ネットなどでしっかり泡立てて使いましょう」
ハンドソープは、なんとなく「薬用」を謳っているほうが感染症対策には心強い気がしますが、「現状では、通常のせっけんより、薬用せっけんのほうが新型コロナウイルス対策には効果があるというエビデンスはない」そうです。「イソプロピルメチルフェノールといった殺菌成分は、手指には刺激になります。通常のせっけんのほうが、手にはやさしいといえますね」
また、手洗い後は、ぬれたままにしておくと、水が蒸発するときに手の水分も奪われ、乾燥してしまうので、手洗い後は、すぐにタオルやハンカチで手を拭くことも大切です。
手荒れには、保湿が大事
では、実際に手があれてしまったら、どうすればいいのでしょうか。
「大事なのは、保湿です」と花房先生。
「手洗いのあとは、すぐにタオルやハンカチでしっかりと水気をふきとり、ハンドクリームやワセリンを塗りましょう。それが手荒れの予防にもなります」
アルコール消毒をしたときも、アルコール分が揮発して、手が乾いてから、ハンドクリームを塗るようにします。
「消毒液で手がぬれた状態で、ハンドクリームを塗ってしまうと、エタノール濃度が下がってしまい、感染症対策の効果が薄れてしまうので、注意しましょう」
ハンドクリームは、使い方も重要です。まず、量は「たっぷり使う」ことが肝心です。
「チューブタイプなら、目安は人さし指の関節2つ分です。この量で、両手の手のひらと甲を塗ることができます。ハンドクリームは高価なものでなくてもOK。いつでも、どこでも使えるように、手頃な価格のものを外出用、在宅用といくつか持っておくといいと思います」
手荒れがひどいときには、手袋の併用もおすすめです。
「ハンドクリームを塗ったあとに、プラスチック製の手袋をすると、有効成分が浸透しやすくなります。密封療法といって、クリニックでもすすめています。就寝時に、ハンドクリームを塗って、綿手袋をしてもいいでしょう」
日常生活でも、洗いものなどの水仕事をするときに、プラスチックやビニール手袋したり、洗濯物をたたんだりするときには綿手袋をして、手を保護することも手荒れ予防になります。ただし、「ゴム手袋は、かぶれることがあるので、使用は控えたほうがいい」と花房先生はアドバイスします。
手荒れの状態によって、ハンドクリームを選ぼう
ハンドクリームには、さまざまな成分が入っています。手の状態によって、選びましょう。
●カサカサ手荒れに
・ヘパリン類似物質
水気を引き寄せ、保湿する作用があります。
・セラミド
バリア機能をつくる角質細胞間脂質と同じ成分で、角層を整える効果があります。
・ワセリン
水分を閉じ込める効果があります。多少なめても大丈夫なので、子どもの手荒れなどにも使えます。
●角質が厚くなってガサガサした手荒れに
・尿素
角質をやわらやくする作用があります。角層が厚ぼったく、ガサガサした状態のときに使うとよいでしょう。
ハンドクリームのベタつきが気になるときは、塗ったあとにティッシュオフを。さらっとしたリキッドタイプ、ローションタイプもあります。仕事でPCを使うときはリキッドタイプやローションタイプ、寝る前はクリームタイプを使うなど、生活シーンに合わせて使い分けてもいいですね。
これから、まだまだ小まめな手洗い&消毒は、必要になりそうです。手荒れ予防もしっかり行っていきたいですね。
取材・文/海老根裕子 イラスト/クロカワユカリ