新型コロナウイルス感染症の影響により、ストレス反応を誘発させる刺激「ストレッサー」が増えているともいわれます。そのストレッサーのひとつとなるのが新型コロナウイルス感染症に関するメディアの報道だといいます。長時間にわたって見ていると、極度のストレスやうつ症状にもつながると海外の研究から報告されました。留意するとよいかもしれません。
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コロナとメンタルヘルスの関係とは?
新型コロナウイルス感染症の影響で、収入が減少してしまった人や失業者が増えています。学生は学習機会を失ってしまうことも。自殺の増加も統計から明らかになっています。そうした状況は米国も同様です。
このたび米国カリフォルニア大学アーバイン校の研究グループは、全国調査で実績のあるNORCという米国シカゴ大学関連の調査機関と協力してウェブを通した全国調査を行いました。調査は米国で感染者数と死亡者数が急増していた2020年3月~4月にかけて3回に分けて実施し、500人以上の有効回答を分析。研究グループは集計結果から極度のストレスの増加と関連する要因として、「個人の健康」「仕事」「メディアとの接触時間」などについて調べました。
コロナ関連のニュースに接すると…
この調査からわかったのは、まずストレスを感じる人が大きく増えたということです。3回の調査をする間に米国内での陽性者数や死亡者数が急増しました。1回目の調査時点での陽性者数は9415人、死者数は190人でしたが、3回目のときにはそれぞれ40万1166人、1万8300人に。これに伴いストレスを感じる人も増えていたのです。
同じコロナ禍にあっても、誰もが同じ影響を受けているのではありません。テレビやインターネット、SNSといったメディアによる報道がストレスを生じさせる刺激となっていました。新型コロナウイルス感染症に関連したニュースをチェックしている時間は、毎日平均して7.06時間。これが極度なストレスやうつ症状と関連していたのです。
「メディアは情報源として重要ではあるものの、新型コロナウイルス感染症に関する内容のテレビの視聴やインターネット記事の閲覧時間が長すぎると問題に。不安やストレスが募ってしまう」と研究グループ。もともと精神疾患をもっていた人や失業や収入減といった経済面の状況も関係していました。研究グループによると、地域や社会で支えることが救いになるといいます。
日本でもメンタルの問題はよく指摘されるようになってきています。コロナ関連のニュースに触れ過ぎていると感じたら、意識的に見る頻度を減らすようにするのがよいかもしれません。
<参考文献>
Study links rising stress, depression in U.S. to pandemic-related losses, media consumption
https://news.uci.edu/2020/09/18/study-links-rising-stress-depression-in-u-s-to-pandemic-related-losses-media-consumption/
Holman EA, Thompson RR, Garfin DR, Silver RC. The unfolding COVID-19 pandemic: A probability-based, nationally representative study of mental health in the United States. Sci Adv. 2020 Oct 14;6(42):eabd5390. doi: 10.1126/sciadv.abd5390. PMID: 32948511; PMCID: PMC7556755.
https://advances.sciencemag.org/content/6/42/eabd5390
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32948511/