新型コロナウイルス感染症の増加があって、心の平穏を保ちづらい日々が続きます。ストレスに打ち勝ち、イライラする気持ちを和らげるために気をつけるべき点は何なのでしょう。海外の研究からは、心理学的な分析により大きく3つの柱が重要だと報告されています。日々の生活でそのポイントを意識するとよいかもしれません。
Contents 目次
気分を穏やかに保つためには?
世のなかに不安要素が増え、気持ちが落ち着かないことが増えています。元気でいるためにはどんなところに気をつけるとよいのでしょう。一般的には気をつける点として、「よく眠り」「体を動かし」「よく食べる」などが、メンタルを乱さないために大切なことだといわれます。研究でもこうした活動の重要性はよく指摘されてきました。
このたびニュージーランド、オタゴ大学の研究グループは、こうした睡眠、運動、食事と、人々の幸福度であるウェルビーイングとの間にどのような関係があるのかをあらためて調べて報告しています。1100人以上の若い成人を対象として、睡眠のとり方、運動の取り組み方、食事の内容によって、その人の幸福度がどのように変わるのかを分析。それぞれ重要と見なされる生活習慣ですが、どのようなポイントに注意したらよいのかを検討したのです。
幸福度が高くなる条件が明らかに
こうして判明したのは、たしかに睡眠や運動、食事の内容によって、幸福度は変わるということ。具体的には、特に幸福度の高さと関連しているのは、睡眠の質の高さでした。よく眠れているという時間が幸福度に直結しているようでした。そのうえで、睡眠量についても幸福度と関連しており、睡眠が1日8時間の場合に幸福度が最も高くなるとわかりました。さらに、運動に取り組む場合も幸福度は高い結果に。食事は、果物と野菜をとっているかどうかの条件だけが幸福度と関連していました。1日4.8食分の果物や野菜を食べている人の幸福度が高い結果に。日本ではみかん2個が1食分とされるなど、目安が示されていますが、比較的多くの量をとっている状態が幸福度と関連してくるようです。
一方で、幸福度が低い結果になる条件も報告されています。たとえば、睡眠量は8時間未満あるいは12時間以上の場合です。野菜や果物は2食分以下、8食分以上だと幸福が低い結果で、極端な場合には、かえって幸福度は低くなる結果になりました。睡眠、運動、食事は、生活習慣の3つの柱というべき点ですが、それぞれに適度な状態があるようです。自身のふだんの生活を見つめ直すヒントにするとよいかもしれません。
<参考文献>
Otago study identifies ‘three pillars’ of good mental health for young adults
https://www.otago.ac.nz/news/news/otago759511.html
Wickham S-R, Amarasekara NA, Bartonicek A and Conner TS (2020) The Big Three Health Behaviors and Mental Health and Well-Being Among Young Adults: A Cross-Sectional Investigation of Sleep, Exercise, and Diet. Front. Psychol. 11:579205. doi: 10.3389/fpsyg.2020.579205
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2020.579205/full