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やる気や元気をキープするために気をつけたい! 専門家が伝授する、人生からエネルギーを奪うNG習慣

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毎日を元気よく過ごすために、とり入れたい習慣をいくつかご紹介してきましたが、じつはついしてしまいがちだけれど、やってはいけないことというものもあります。今回は、明治大学教授の堀田秀吾先生の『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』から、できれば避けたいNG習慣を3つご紹介していこうと思います。

Contents 目次

やけ酒はイヤな記憶を定着させてしまう

飲酒

気持ちの憂さを晴らすために、「ちょっと1杯!」。しかしこのやけ酒、じつによくないことがわかりました。

「東京大学大学院薬学系研究科の野村・松木の研究ですが、ネズミに電気ショックを与え、アルコールを注射し、そのあとどのようにふるまうかを調べた実験があります。アルコールを注射されたネズミは、電気ショックのことを忘れるどころか、かえって電気ショックによる恐怖を強め、臆病になってしまったのです。やけ酒は忘れてしまいたいという思いがもとになっての行動なのでしょうが、忘れるどころか強化されてしまうわけです」(堀田先生)

それどころか、アルコールを常習すると、イヤな記憶を消す能力が下がるという、アメリカ国立衛生研究所のホームズらによる研究結果もあるそうです。

「仮に毎日のようにやけ酒を飲んでいるとしたら、イヤなことの記憶がどんどん鮮明に脳裏に刻み込まれていき、どんどんと消えにくくなってしまうのです。脳をホワイトボードにたとえると、いつの間にか忘れたい内容が油性マジックで書かれるようになっていたようなものです」

やけ酒はストレス解消になるどころか、かえってイヤな記憶を強め、元気を損なう結果につながってしまうようです。

人やモノに当たっても、より激しい怒りに

怒り

日頃のうっぷんのはけぐちにSNSで攻撃的な書き込みをする…これもストレス解消にはならず、かえってマイナスの影響があることがわかりました。

「アイオワ大学のブッシュマンらの研究があります。実験では、被験者たちに『怒ったときはパンチングバッグを殴ると、怒りの解消に効果的』という記事を読ませて、そのあと怒らせてみて、どんな行動に出るかを調査したものです。その結果、パンチングバッグを殴った被験者はバッグをたたくことを楽しんだものの、怒りは収まるどころか、怒りの対象の相手、ひいては関係ない人にまで怒りをぶつけるようになったそうです」

怒りの行動は、表現してしまうとさらに大きくなってしまうということ。イライラしたときは瞬間的に行動するのではなく、少しの間、ガマンするのが大切になってきます。

「怒りは生物としてより原始的な脳である『大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)』から起きる働きですが、人間はそれをコントロールする『大脳新皮質』が進化しています。怒りの感情も、大脳新皮質が稼働し始めるまでの少しの時間をおけば収まります。ですから、何よりも重要なのは瞬間的に怒らないこと。怒らない選択肢もあるんだ、怒るかどうかを選ぶことができるんだ、ということを常に頭に入れて、ふ~っと、深呼吸などをしてください」

過去に執着すると成長できない

落ち込む男性

失恋したあとは、過去にしがみつかないというのが賢明なようです。

「オハイオ州立大学のフォックスとハワイ大学のトクナガの研究によると、過去1年以内に失恋を経験し、自分も元恋人もFacebookに登録している大学生431人を対象にした調査では、Facebookで元恋人のページを見て、近況やその交友関係などを調べている人ほど、元恋人への恨みや未練の気持ちを捨てられず、気持ちを切り替えて新しい趣味をもつなどの人間的な成長が見られないことがわかったというのです。特に、相手から別れを切り出された場合ほど、その傾向は顕著でした」

失恋で元気が出ない期間が続けば続くだけ、恋愛以外の生活においても新しいステップに一歩踏み出すことができなくなってしまうということ。悲しい気持ちを引きずりやすい人は、次のチャンスも逃しているかもしれません。できるだけ早く気持ちを切り替えるようにしたほうがいいですね。

ストレス解消にと思っても、脳にも人生にも悪影響がありそうなこれらの習慣。ついしてしまいそうになったら、これらの研究を思い出してみてください。思いとどまることで、少し成長した自分に出会えるはずです。

参考書籍/

書影

『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』(アスコム)

堀田秀吾

堀田秀吾
ほった・しゅうご 明治大学法学部教授。言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな学問分野を融合した研究を展開。専門は司法におけるコミュニケーション分析。研究者でありながら、学びとエンターテイメントの融合をライフワークにしており、「明治一受けたい授業」にも選出される。『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』 (サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)など著書多数。

 

文/庄司真紀

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