美容や免疫力アップに欠かせないビタミンC。そして、血行促進やアンチエイジングの強い味方、ビタミンE。いずれも強力な抗酸化作用をもち、細胞の損傷や炎症を予防します。このたび海外の研究から、食事でビタミンCとEをたっぷりとっていると、神経難病のひとつであるパーキンソン病にかかりにくくなるという報告がありました。
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スウェーデンの男女4万人以上を調査
パーキンソン病は、脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質をつくる細胞がしだいに死滅してドーパミンが減り、脳からの指令がうまく伝わらなくなって、話すことや歩くこと、体のバランスをとることなどに障害が現れる難病です。細胞がしだいに死滅する原因はよくわかっていませんが、酸化ストレスが関与していると考えられています。日本では指定難病となっていますが、60歳になるとおよそ100人に1人がかかるとされており、関係している人は決して少なくありません。
このたび、スウェーデンやイタリアの研究グループは、特に抗酸化作用の強い3つの栄養素、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテンについて、パーキンソン病との関連性を調べてみました。スウェーデンの男女4万1000人以上を平均18年追跡。身長や体重のほか、食事や運動などのライフスタイル、病歴を含むアンケートに答えてもらったデータを使って、それぞれの栄養素の摂取量をもとに「高」「中」「低」の3グループに分け、パーキンソン病になるリスクを比較しました。
どちらも32%のリスク低下
この分析から判明したのは、ビタミンCかEをたくさんとっていたグループはパーキンソン病になるリスクが低いことです。年齢や性別、BMI、運動量などの要素を考慮して分析した結果、ビタミンCの摂取量が高いグループは低いグループに比べて、パーキンソン病になるリスクが32%低く、ビタミンEも同様に32%低くなりました。ベータカロテンでは、このような関連性は見られませんでした。
また、ビタミンCとEを両方ともたくさんとっていると、さらに効果が増す結果も見られました。ただし、今回の研究では、食品からの推定摂取量のみから見ており、サプリメントの利用については調べていないので、未知の要因がある可能性もあります。
さらに、たとえばビタミンEをサプリメントでとり過ぎると、がんや脳卒中のリスクが上がるという研究結果も出ていると研究グループは説明。「ビタミンによってはとり過ぎに気をつける必要がある」と注意をうながしています。また、パーキンソン病のリスクを下げるために最適なビタミンCとEの量を調べるために、もっと研究が必要だとしています。野菜や果物は健康全般によいとわかっていますので、定期的に食事にとり入れるうえで、こうした研究も参考にしてみるとよいかもしれません。
<参考文献>
ANTIOXIDANTS VITAMIN C AND VITAMIN E LINKED TO LOWER RISK OF PARKINSON’S
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/3848
Essi Hantikainen, Ylva Trolle Lagerros, Weimin Ye, Mauro Serafini, Hans-Olov Adami, Rino Bellocco, Stephanie Bonn, Dietary antioxidants and the risk of Parkinson Disease The Swedish National March Cohort, Neurology Jan 2021, 10.1212/WNL.0000000000011373; DOI: 10.1212/WNL.0000000000011373
https://n.neurology.org/content/early/2021/01/06/WNL.0000000000011373