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人気書籍『なんとなく不調をととのえるスープ』の著者に聞く! 心身を見つめ直す、滋味スープの原点
自分の免疫力を見直したい昨今。滋味あふれるスープを紹介した書籍『なんとなく不調をととのえるスープ』(世界文化社)が話題です。著者は⻑野県にあるホリスティックリトリート「穂高養生園」で調理を担当する鈴木愛さん。今回、鈴木さんに、オススメのスープをはじめ、食と体との向き合い方、食養生のコツなどをうかがいました。2回に分けてお伝えします。
Contents 目次
食で心身を“ととのえる”
春から秋にかけては長野県安曇野市にあるホリスティックリトリート「穂高養生園」で調理を担当し、不定期で「ととのえる」をテーマにした食事会を開催する鈴木さん。
もともとは映画の衣装スタイリストをしていましたが、家族の病気をきっかけに、食の世界へ。
「できることはやってみようと、自然治癒力や免疫力を高めるため食事療法をとり入れることにしたんです。ゆっくりとですが、着実に体が快方へ向かっていき、それが食の可能性について考える大きな転機となりました」
食事や生活習慣を変えることが、大きな手立てとなる―。自身も食を変えたことで心身が変化し始めました。
「体調が改善されると同時に心も穏やかになりました。難しいことではなく、基本的なこと、身近なことで心身を整える方法があることをとても心強く思いました」
不調に気づき、自分自身の力で
「食や生活が“ととのう”ことがどういう状態なのかがわかることで、それまで不調とも気づいていなかった不調に気がつくようになりました。早い段階で心身の変化に気がつけるようになったので、症状が軽いうちに体調を整えることができます」
体調を崩す前に現れる何らかのサイン。
鈴木さんは「最初のサインを感じたときに、胃腸を休めて自分自身の力で回復できるように体を整えることが大切」と話します。
そして、栄養過多な食事や健康情報があふれている現代で、心身ともに健やかに過ごすには
「見極め」と「バランス」が重要とも。
「自分の心身が何を必要としているかをよく観察すること、食事でもセルフケアでも健やかに過ごすための方法が、自分に合っているのかどうかを見極めることが必要だと思います。そして食事ももちろんですが、運動とリラックスとのバランスがとれていることが大切だと感じます。基本的なことを整えるだけで体調は変わります」
基本のシンプルスープ「しいたけだしのスープ」
しいたけだしのスープは鈴木さんのオススメのひとつ。
食養生で、動物性の脂や酸化した油を体中で中和させるとされるしいたけ。外食が続いたときなどに飲みたい一品です。
「干しいたけには動物性の脂を分解する働きがあり、梅干しは解毒作用があります。冬に滞りがちな老廃物や毒素の排出を助けます」
ゆっくり戻し、ゆっくり煮ることによって、えぐみのないすっきりとした味に。梅干しの酸味が心地よく染みます。
【材料】(2人分)
干ししいたけ 2~3個(10g)
梅干し 1~2個
水 400ml
しょうゆ 少量(2~3滴)
【作り方】
(1)干ししいたけは軽く洗って分量の水とともに鍋に入れ、1~2時間かけて戻す。
(2)(1)に梅干しを加え、弱めの中火にかける。ふつふつと沸いてきたら、ごく弱火にして30〜40分煮る。
(3)粗熱をとってざるで漉し、しょうゆを加える。
「最初に梅干しの塩気と酸味を感じ、そのあとしいたけの滋味深いうま味がゆっくり広がります。漉したあとのしいたけは煮物などにお使いください」
「食べることは生き方につながっています」と鈴木さん。
素材のおいしさを引き出しながら、滋味あふれるように工夫されたスープ、おいしそうですね。なんとなく不調を感じるとき、また不調を感じていなくても、ぜひ気軽にとり入れてみてください。
次回は、体をうるおす「白菜のくず汁」、体の芯までじっくり温める「かぶとカリフラワーのスープ」をご紹介します。
文/庄司真紀
『なんとなく不調をととのえるスープ』(世界文化社)