胸やけに悩まされている人は少なくないかもしれません。食習慣が乱れたときなどに、胃酸が増えて、胸が焼けたように感じてつらくなる症状は、専門的に胃食道逆流症や逆流性食道炎と呼ばれています。海外研究から、胸やけを避けるためのポイントが示されています。イヤな症状にならないために気をつける点は―?
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胸焼けはなぜ起こる?
日本の過去の全国調査では、4割近くの人が胸やけの症状があると報告されたことがあり、胃食道逆流症(逆流性食道炎)も1割以上の人に見られるとの結果も。海外でも、同じように胸やけや胃食道逆流症が3割近くの人に見られるとされ、薬で治したり、食事などの生活習慣を改善したりして、症状を抑えるように推奨されています。ただ、それらが有効かの根拠は乏しいという問題もあります。
このたび米国マサチューセッツ総合病院などの研究グループは、胃食道逆流症や胸やけの改善につながるライフスタイルついて研究結果を報告しています。4万3000人もの女性から聞きとった胃食道逆流症や胸やけの情報を分析。ガイドラインで推奨されている5つのポイントに気をつけて生活したときに、症状が改善するかを調べたのです。そのポイントとは、体重を増やさないようにすること、たばこを吸わないこと、1日30分以上、中程度以上の運動をすること、コーヒーや紅茶、炭酸飲料を1日2杯に制限すること、野菜や果物、魚などを中心にした健康を意識した食事をとること―の5つです。
大切なのはライフスタイルの改善
こうして判明したのは、ライフスタイルの5つのポイントに気をつけることで、胃食道逆流症や胸やけの症状を防げるということです。研究グループが調べたところ、ガイドラインで推奨されている5つのポイントを守ると、胃食道逆流症の症状を37%減らせることが確認できました。しかもガイドラインに従うほど、症状のリスクが減少。薬を使っている人においても同様に症状を軽減することがわかりました。推奨されているポイントは、それぞれは健康のために大切とされることばかりですが、胸焼けの症状を抑えるためにも意味があるというわけです。
研究グループによると、5つのポイントのなかでも運動の効果を確認したのは初めてとのこと。胸やけの症状を避けるうえで、体を動かすことが効果的というのは、意外性があるのかもしれません。「消化管の運動を改善するためではないか」と研究グループは推定しています。胃酸の排出を促してくれる可能性があるようです。生活に気をつけることで、薬がなくても胸やけに悩まされなくなる可能性があるといいます。胸やけに悩まされている人は、5つのポイントに気をつけて生活してみてはいかがでしょう。
<参考文献>
大原秀一ほか,全国調査による日本人の胸やけ・逆流性食道炎に関する疫学的検討,日消誌 2005;102:1010-1024.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/102/11/102_11_1482/_pdf
Diet and lifestyle guidelines can greatly reduce gastroesophageal reflux disease symptoms
https://www.massgeneral.org/news/press-release/Diet-and-lifestyle-guidelines-can-greatly-reduce-gastroesophageal-reflux-disease-symptoms
Mehta RS, Nguyen LH, Ma W, Staller K, Song M, Chan AT. Association of Diet and Lifestyle With the Risk of Gastroesophageal Reflux Disease Symptoms in US Women. JAMA Intern Med. 2021 Jan 4:e207238. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.7238. Epub ahead of print. PMID: 33393976; PMCID: PMC7783590.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33393976/