新型コロナにはお腹の症状も？

新型コロナウイルス感染症の症状は多様です。多いのは高熱や呼吸器系の問題。さらに、心臓や血管への影響が指摘されているほか、肝臓や腎臓などにも影響することがわかってきました。こうしたなかで注目されているのが、胃腸への影響です。下痢や吐き気、嘔吐の症状が見られる人が多いからです。ウイルスが消化管に侵入すると病気の重症度が増す可能性もあるようです。腸の健康状態が悪いと問題を大きくすると疑われています。

そこでこのたび香港中文大学の研究グループが、新型コロナウイルス感染症にかかった人を対象にして、胃腸の健康と病状との関係について分析しました。100人から血液や便を採取したうえで、健康記録をとって分析したのです。

腸内の微生物の状態が関係する

こうして判明したのは、腸内の健康が、新型コロナの症状の重さに関係している可能性です。フィーカリバクテリウムやユーバクテリウムと呼ばれる細菌の仲間のほか、ビフィズス菌を含めたいくつかの腸内細菌が、新型コロナウイルス感染症にかかった人では減っていました。さらに、血液検査で炎症の程度が増している人では、腸内細菌の変化が確認できたのです。新型コロナの重症度が高い人では、これらビフィズス菌などの特定の細菌が減っていました。

「ウイルスに対する免疫反応と、こうした腸内の微生物の状態がリンクする可能性がある」と研究グループ。細菌の種類やバランスが崩れることで、新型コロナによる炎症が長引いてしまう可能性もあるそう。また、研究は必要だといいますが、腸内の微生物のバランスを整えることで、新型コロナの長期的な影響を和らげられる可能性もあると述べています。

＜参考文献＞

Yeoh YK, Zuo T, Lui GC, Zhang F, Liu Q, Li AY, Chung AC, Cheung CP, Tso EY, Fung KS, Chan V, Ling L, Joynt G, Hui DS, Chow KM, Ng SSS, Li TC, Ng RW, Yip TC, Wong GL, Chan FK, Wong CK, Chan PK, Ng SC. Gut microbiota composition reflects disease severity and dysfunctional immune responses in patients with COVID-19. Gut. 2021 Jan 11:gutjnl-2020-323020. doi: 10.1136/gutjnl-2020-323020. Epub ahead of print. PMID: 33431578; PMCID: PMC7804842.
https://gut.bmj.com/content/early/2021/01/04/gutjnl-2020-323020

Make-up of gut microbiome may influence COVID-19 severity and immune response
https://www.bmj.com/company/newsroom/make-up-of-gut-microbiome-may-influence-covid-19-severity-and-immune-response/

Poor Gut Health Connected to Severe COVID-19, New Review Shows
https://asm.org/Press-Releases/2021/January/Poor-Gut-Health-Connected-to-Severe-COVID-19,-New