ほうれん草やレタスなどの緑黄色野菜は、ビタミンや食物繊維を含めて栄養の宝庫。日ごろの食卓に欠かせません。お腹の健康にとってもこうした野菜は重要。海外の研究によると、緑黄色野菜に含まれている成分のひとつが、腸内細菌の働きによって分解されることで、腸の健康と密接に関係しているというのです。
Contents 目次
緑黄色野菜が腸にいい理由は?
ほうれん草などの野菜を食べた場合、体のなかに入ってくる栄養成分は数百種類に及ぶそう。それらが消化・吸収されて、健康を保つために使われていきます。
栄養は単純に吸収されるのではなく、腸にたどり着いたときに、数百種類の微生物が集まった腸内細菌叢の影響を受けることがわかっています。そこでさまざまな変化が起こります。腸内細菌叢が栄養の効果まで変化させる可能性があるのです。
このたびオーストリアのウィーン大学の研究グループは、緑黄色野菜に含まれている「スルホキノボース」という糖類に注目して、腸内細菌叢との反応を含めて、健康への効果を分析しました。
分解されて、健康に
今回、わったのは、スルホキノボースがお腹の健康に影響するかもしれないということです。具体的には、緑黄色野菜を摂取することによって、野菜に含まれているスルホキノボースが、腸内細菌叢によって分解され、「硫化水素」という成分を発生させていると突き止めたのです。硫化水素は温泉で硫黄の匂いのもとになるもので、卵が腐ったような特有の匂いを発生させます。これには腸内の病原体や炎症を抑えたりする効果があると考えられています。
これまでもタウリンを摂取すると、腸内細菌によって分解されて、硫化水素が出てくるという報告がありました。しかし、ほうれん草や藻類などの植物性の食品からも硫化水素が出てくるのはこれまで知られていなかったのです。これは、お腹の健康を守る効果が緑黄色野菜にある可能性があることを示しているといいます。
硫化水素は多すぎると毒にもなり得ますから、緑黄色野菜をほどよく食べることで、腸内細菌とともに健康によい効果をもたらしてくれる可能性が考えられるようです。
<参考文献>
Hanson BT, Dimitri Kits K, Löffler J, Burrichter AG, Fiedler A, Denger K, Frommeyer B, Herbold CW, Rattei T, Karcher N, Segata N, Schleheck D, Loy A. Sulfoquinovose is a select nutrient of prominent bacteria and a source of hydrogen sulfide in the human gut. ISME J. 2021 Mar 31. doi: 10.1038/s41396-021-00968-0. Epub ahead of print. PMID: 33790426.
https://www.nature.com/articles/s41396-021-00968-0
Popeye with a whiff of rotten eggs
https://medienportal.univie.ac.at/presse/aktuelle-pressemeldungen/detailansicht/artikel/popeye-with-a-whiff-of-rotten-eggs/
意外な効果を発揮するタウリン。海外研究からわかった、腸への好影響とは
https://fytte.jp/healthcare/131685/