婦人科医の松村圭子先生(成城松村クリニック院長)に、「生理」や「女性ホルモン」など、女性の体についてわかりやすく教えていただく連載。読めば、自分の体や心と上手に付き合える"優秀ホルモンヌ"になれます!
今回のテーマは、生理の経血の量です。
ナプキンを頻繁に換えなくてはいけないほど経血の量が多かったり、出血が少なくてダラダラと1週間以上続いたり...。これって、病気が隠れている可能性があるの!? 松村先生に、教えていただきました。
Contents 目次
生理の経血の量は、女性ホルモンの働きが関係している
こんにちは、婦人科医の松村圭子です。
まず、経血がなぜ出るのか、女性の体のしくみを知っておきましょう。
生理は、「妊娠する準備」のための体の機能です。
生理後から女性ホルモンのエストロゲンの分泌が高まり、子宮内膜のベッドを厚くしていきます。そして、排卵が起こると「母のホルモン」ともいわれるプロゲステロンの分泌量が高まって、さらにベッドをふかふかにします。
その後、受精が成立しないと子宮内膜のベッドがはがれ、「経血」として子宮の出口から出ます。
そのため、経血の量の変化には、女性ホルモンのバランスの乱れが関わっていることがあります。
量が多い場合は、子宮内膜を厚くするエストロゲンの働きが強過ぎる、少ない場合はエストロゲンの働きが弱くなっているのかもしれません。
ナプキンを換える回数が急に増えた・減ったなど、毎月の自分の経血の量の変化に注目することが大切です。
経血の量は、どれぐらいだと「多い」の?
経血の量には個人差がありますが、医学的には1回の生理で約20~140mlと定義されています。
でも、この数字ではわかりにくいですよね。
次の2つに当てはまれば、経血の量が多いといえます。
-
昼用のナプキンが1時間もたない
日中、昼用のナプキンをつけて1時間でもれてしまう。または、夜用のナプキンをつけて2時間もたない場合は、経血の量が多くなっています。
-
レバー状の血のかたまりが出る
通常、経血はかたまらない状態になっています。レバー状の血のかたまりがボコボコと出る場合、経血の量が多過ぎることが考えられます。「子宮筋腫」などの病気が隠れているかもしれません。
上記に思い当たることがあれば、婦人科のクリニックを受診しましょう。
生理の経血の量が少なくなるのはなぜ?
だいたい、40歳前後から生理の変調の兆しが出てきて、経血の量が少しずつ減ったり、生理の日数、周期が短くなったります。体が閉経に向けて準備をしているのです。
20代~30代前半で、急に経血の量(増えた、減った)、生理の日数(長くなった、短くなった)の変化があれば、何らかの病気のサインなのかもしれません。
生理の日数は、3~7日が一般的です。
生理のとき、経血がちょっとだけ出て1~2日で終わる、または少量で8日以上だらだらと続くことがあれば、「無排卵月経」の可能性があります。エストロゲンの分泌量が少なくなっていて、排卵が起こっていないのかもしれません。
女性ホルモンバランスは過激なダイエット、不規則な生活、過度なストレスなどによって乱れやすくなります。
生活習慣を見直すとともに、自分の生理の日数や経血の量のパターンを知り、急な変化があれば婦人科のクリニックを受診してください。
取材・文/掛川ゆり