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人は「眠らない」とどうなるの!? 海外研究の実験結果による「睡眠」の必要性
睡眠不足の状態では「なんとなく体調が悪い」、「調子が出ない」、「イライラしやすい」など、睡眠不足による感覚的な不調を経験したことは、誰しもが一度はあると思います。また、「もしも眠らずに過ごすことができたらどんなにすばらしいだろう」と願うことも…。多くの多忙な現代人なら一度は経験済みでしょう。しかし、実際にそのようなことは可能なのでしょうか。
睡眠コンサルタントの友野なおさんが、海外の実験や挑戦結果、報告データをもとに解説!
Contents 目次
人間が「眠らない」を続けるとどうなるの?
海外で、ラットを使って睡眠が生命に及ぼす影響について調べた研究が行われました。ラットを眠らせないようにすると、まず動きが少なくなり、体温を制御できなくなって震えなどが見られ、さらに代謝を調節できなくなり体重が著しく減少します。やがて毛が抜けたり潰瘍ができたりして全身状態が悪化し、免疫不全のような状態になって断眠後3週間程度で感染症により死んでしまうことが報告されているのです。
また、1964年にはランディ・ガードナーという17歳の高校生がカフェインなどの覚醒作用のあるものは一切使用せずに眠らないという断眠挑戦が行われました。最終的には11日間(264時間)断眠したという断眠最長記録が報告されていますが、その間にはさまざまな変調が起こっています。断眠2日目になると彼は怒りっぽくなると同時に体調不調を訴え、さらに記憶障害、集中力の低下、テレビを見ることさえも困難になったそうです。断眠4日目には妄想をきたすようになり、ひどい疲労感を訴え、断眠7日目には震えを示し、言語障害も認められたということ。
このような実験や挑戦から、やはり睡眠は体、精神、脳の回復に絶対に必要だと断言できます。睡眠が満たされていない状態で私たちは心身、そして脳を健康な状態を維持しながら生きていくことはできないのです。
実際、睡眠障害や短時間睡眠が体の疾患に及ぼす影響については多数報告がなされており、4時間以下の短時間睡眠は、7時間睡眠に比べて、女性で虚血性心疾患の死亡リスクが2.3倍、循環器疾患及びがん以外の死亡リスクは男女ともに1.5倍、全死亡リスクは男女ともに1.3倍と、死亡リスクが増加することが報告されています。
さらに、24時間社会がもたらす健康への影響に対する指摘も。夜間を含む交代勤務を月に3日以上行ってきた女性は、日勤の女性と比較して乳がんのリスクは1.36倍、子宮内膜がんのリスクは1.47倍高いという報告があり、男性では、交代勤務のある人はない人と比較して前立腺がんの発症リスクが3倍高いという報告があります。
体と精神、脳の健康を守り、良好な人間関係を維持しながら高いQOLで目標を達成し、夢を実現させるためには、日々良質な睡眠で自分を満たしてあげることが欠かせません。未来の自分を作る時間として睡眠時間を充実させられるよう、睡眠環境を見直したり、睡眠時間の確保を心がけたり、自分にできるところから行動していきましょう。