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CATEGORY : ヘルスケア |妊娠・出産

妊娠糖尿病の対策はプチ断食でも大丈夫? 海外研究がカロリー制限との効果を比較

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妊婦

妊娠してから初めて血糖値の異常が見つかる「妊娠糖尿病」は妊婦さんには心配の種のひとつ。それを防ぐには減量が大切ですが、このたび、妊娠糖尿病歴がある人でもインターミッテントファスティング(プチ断食)で一般的なカロリー制限ダイエットと同じくらい効果が得られたという報告がありました。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

妊娠した女性の5人に1人が関係

甘いものの誘惑を受ける妊婦

世界的には妊娠した女性の5人に1人が妊娠糖尿病になるそう。問題は妊娠中だけにとどまらず、出産後に糖尿病を発症するリスクが10倍になります。妊娠糖尿病になったうえに太っているとリスクが一層高くなります。

今回、研究報告した南オーストラリア大学の研究グループは、妊娠中に体重が増え過ぎているときには減量と運動が必要になり、妊娠糖尿病の予防のためには25〜30%のカロリー制限が一般的だと説明しています。ただ、ダイエットを続けるのもなかなか大変です。

そこで研究グループは、週5日はふつうに食べて、2日だけ500kcalに抑えるプチ断食と、毎日1500 kcalに制限するダイエットとで(どちらも週におよそ25%のカロリー制限)、減量と糖尿病予防の効果について比べてみました。対象としたのは、数年前に妊娠糖尿病と診断された太りぎみの女性121人。12か月間どちらかの食事制限を続けてもらって、体重の減り具合と、どれくらい糖尿病になりやすいかを示すマーカーの変化を調べました。

1年続いたのは約半数

妊婦

こうして確認されたのが、どちらのダイエット法でも同じくらいの減量効果と糖尿病の可能性を判断するための検査値の変化が見られたということ。

プチ断食を行った場合もカロリー制限の場合も、12か月目の時点で同じように体重の減少が確認できました。糖尿病に関連した検査値(血液中のヘモグロビンA1c、血糖値、インスリンレベル、インスリン抵抗性、ブドウ糖負荷試験の結果)すべてにおいて2つのグループの間に効果の差はありませんでした。

毎日カロリーに気をつけなければいけないダイエット法に比べて、2日だけ大きくカロリーを減らすプチ断食で同様の効果が得られたのは、妊娠糖尿病歴をもつお母さんにとって朗報と研究グループは指摘しています。なお始める前には医師や専門家に相談するほうがよいと注意もうながしています。

<参考文献>

Gray KL, Clifton PM, Keogh JB. The effect of intermittent energy restriction on weight loss and diabetes risk markers in women with a history of gestational diabetes: a 12-month randomized control trial. Am J Clin Nutr. 2021 Aug 2;114(2):794-803. doi: 10.1093/ajcn/nqab058. PMID: 33831950.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33831950/
https://academic.oup.com/ajcn/article-abstract/114/2/794/6218074?redirectedFrom=fulltext

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