食品の栄養に関する情報はたくさんありますが、毎日の生活にとり入れるのはなかなか大変。このたび個々の食品や飲みものだけでなく、さまざまな料理も含めた8000種類以上の飲食物について、最新の科学的証拠をもとにどれくらい健康的かの総合スコアを1〜100点で算出した新しい「栄養プロファイリング」結果が報告されました。もっともスコアが高い食品は何でしょうか。
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9分野54種類の特性からスコア化
どの食品がどれくらいヘルシーかわかれば便利。そのようなスコアを示すための「栄養プロファイリング」と呼ばれるシステムは、これまでにも保健機関や食品会社などがそれぞれ独自にいろいろ開発してきました。
今回、米国タフツ大学の研究グループが報告したのは、3年がかりで完成させた『フード・コンパス』というシステム。これまでにないほど多くの栄養素や成分、添加物などの食品特性に関する最新の科学を導入して、ひとつの飲食物が健康にプラスまたはマイナスの影響を与えるのかについて、一貫したスコアで表示したものです。
研究グループは米国人が消費する8000種類以上の飲食物に関する詳細な全国的データベースを使用。これらの飲食物はサンドイッチのパンの種類や、カプチーノに使われているミルクの種類まで細かく定めてあります。
そのすべてについて、9つの分野(栄養素の比率、ビタミン・ミネラル、たんぱく質、脂質など)にわたる54種類の特性を評価して点数をつけ、1(ヘルシー度がもっとも低い)〜100(もっとも高い)の合計点を出しました。
こういった分野や特性は、肥満や糖尿病、心臓・血管にかかわる主な生活習慣病、それに栄養不足になるリスク(特に幼児や母親、高齢者)に関係する栄養的な特性に基づいて選ばれています。
さらに米国農務省の食品データベースや海外の加工品栄養評価システムなどと照らし合わせて、この栄養プロファイリングシステムの有効性も確認しました。
3大ハイスコア食品グループ
結果的に、全飲食物を見るとハイスコアの食品グループは明らかで、大きく3つのハイスコア食品グループが浮かび上がりました。もっともヘルシー度が高かったのは「野菜(平均スコア69.1)」「フルーツ(同73.9)」「豆類・ナッツ/シード類(同78.6)」となりました。特にフルーツは、ほぼすべての生のフルーツが100点で、じゃがいもなどのでんぷん質の野菜は43.2点でした。今回のスコアを参考にすれば、食品の最高峰はフルーツといっていいのかもしれません。
逆にもっとも低かったのは「スナック・甘いデザート類(同16.4)」。そのほか牛肉24.9点、鶏肉42.67点、海産物67.0点、飲みものとしては加糖ソーダやエネルギードリンクが27.6点、100%のフルーツ/野菜ジュースが67点でした(全飲食物のスコアが公開されています)。
研究グループは、70点以上を妥当なスコアとして推奨し、31〜69点の飲食物は適度に、30点以下は最小限にとるほうがよいとしています。
この『フード・コンパス』は将来、免疫系や脳の健康、身体および精神的なパフォーマンス分野などについてさらに科学的証拠が出てきた場合に、特性やスコアを追加できるように設計されています。誰もが利用できるこのツールによって、消費者だけでなく、レストランや学校・会社のカフェテリア、食品業界、それに政府の指針にとっても、よりよい選択ができるのではないかと研究グループは結論づけています。日本でも参考になりそうです。
<参考文献>
Ranking Healthfulness of Foods from First to Worst
https://nutrition.tufts.edu/news/ranking-healthfulness-foods-first-worst
Mozaffarian, D., El-Abbadi, N.H., O’Hearn, M. et al. Food Compass is a nutrient profiling system using expanded characteristics for assessing healthfulness of foods. Nat Food (2021). https://doi.org/10.1038/s43016-021-00381-y
https://www.nature.com/articles/s43016-021-00381-y