日常的に運動を続けることで、ダイエットから、生活習慣病の予防、さらにはいろいろながんにまで影響があることがわかっています。そんななか、このたび米国から「中等度の強さの運動を週に5時間」という推奨レベルを満たせば、年間4万6000件ものがんを防ぐ可能性があるという報告がありました。効果は女性で顕著なようです。
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2013〜2016年のデータを分析
エクササイズとがんとの関係については、これまでも乳がんとの関係が報告されたことがありました。また、座り過ぎの生活ががんを含めた病気のリスクを高めると米国がん協会(ACS)が警告を出したこともあります。
今回、米国がん協会などの研究グループは、運動することで実際にどの程度がんを減らせるのか調べてみました。使用したのは、2013〜2016年の米国の全国健康栄養調査(NHANES)と行動危険因子監視システム(BRFSS)からの自己申告による運動(身体活動)のデータと、全国がん統計データベースからのがん発生データです(30歳以上の人が対象)。BRFSSは米国疾病管理予防センター(CDC)が行っている世界最大の電話調査で、健康に関連する危険な行動や病気の予防について全国のデータを集めています。
身体活動のレベルを8つに分けて、米国の州ごとに各種のがん(胃がん、腎臓がん、大腸がん、乳がん、子宮内膜がんなど)になるリスクを分析・比較しました。
がんの3%が運動不足に起因
ここからわかったのが、米国がん協会が推奨する身体活動ガイドライン(中等度の強さの運動を週に5時間)を満たしていれば、毎年4万6000件以上のがんを避けられる可能性があることです。この予防できる発生件数は女性(3万2000件)のほうが男性(1万4000件)より高くなりました。
身体活動が少なかったせいと考えられるがんは、分析したすべてのがんの3%を占め、部位別には、膀胱がんの3.9%から胃がんの16.9%にわたりました。乳がんは6.5%、子宮内膜がんは11.9%でした。エクサイズの時間を増やすようにすると、こうしたがんを避けられる可能性があると、研究グループは指摘。そのうえで、実際問題としてなかなか運動する時間と取れない人も多いとして、誰もが運動に取り組めるようにする対策も必要としています。
<参考文献>
Data Continues to Show that Americans Need at Least 5 Hours Per Week of Physical Activity to Prevent Some Cancers
http://pressroom.cancer.org/PhysAct_PAF
Minihan AK, Patel AV, Flanders WD, Sauer AG, Jemal A, Islami F. Proportion of Cancer Cases Attributable to Physical Inactivity by US State, 2013-2016. Med Sci Sports Exerc. 2021 Oct 4. doi: 10.1249/MSS.0000000000002801. Epub ahead of print. PMID: 34628449.
https://journals.lww.com/acsm-msse/Abstract/9000/Proportion_of_Cancer_Cases_Attributable_to.95939.aspx
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34628449/
乳がんと関係する生活習慣とは? 英国の研究で「5つのポイント」を指摘
https://fytte.jp/healthcare/105471/
座っている時間を運動に切り替えると、いいことが!
https://fytte.jp/healthcare/66445/