小さいころの性格が成人後の健康に関係する? そんな意外な報告がありました。海外研究によると、幼少期に恥ずかしがりやで対人関係に臆病だと、思春期にあまり運動しなくなり、そのために大人になってから心臓や血管の病気や生活習慣病になるリスクが高くなるというのです。内気な気質は職業の選択、ひいてはBMIにも関連するようです。
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性格は活動にどう影響する?
人の健康状態は、生まれもっての性格、社会的に置かれた立場、行動パターンが影響を与えることがわかってきています。また、恥ずかしがりやで内気な子どもは対人関係のスキルが低く、大人になってからの健康に影響するという研究結果も出ているそうです。
そこで今回、米国の研究グループは、子どもの心理社会的能力の傾向や行動を決定すると考えられる「気質」に注目。この気質と病気(心臓や血管の病気および代謝障害)との関連性を調べてみました。
約1万4000人の新生児の健康を追跡調査した英国の大規模研究から、9500人(男女およそ半々)のデータを使用。親の報告に基づいて、3〜6歳の気質を内向的(30%)、外交的(26.5%)、内向的と外向的との間で揺れ動く葛藤型の内気(24.5%)、恥ずかしいと避けてしまうタイプの回避型の内気(19%)の4種類に分けました。
そして、11〜15歳の中〜高強度の身体活動量、24歳時点での職業による社会的階層と心臓や血管の病気および代謝障害のリスクにつながるBMI、血圧、血糖値などについても、幼少期の気質との関連を分析しました。
およそ20%が恥ずかしがりや
こうして確認されたのが、個人の気質が成人してからの健康に影響することです。恥ずかしい、臆病といった回避型の内気な気質をもつ人が損をしてしまう結果になっていました。
具体的には、回避型の内気な気質をもつ子はほかの3種類の気質をもつ子に比べて思春期の中〜高強度の身体活動が少ないことが判明しました。その結果、24歳時点で心臓や血管の病気および代謝障害のリスクが高くなるとわかりました。つまり、善玉コレステロール値が低く、一方で悪玉コレステロール値、血圧、BMI、インスリン値が高いといった病気につながる問題を抱えやすかったのです。
この結果を受けて研究グループは、小さいころの気質の違いが行動や心理社会的能力の発達と関連していると説明。それがひいては心臓や血管や代謝関連の健康を左右することになります。自分の性格が影響して運動に億劫と感じている人は、思い切って自分の殻を破って行動を起こすことが大切なのかもしれません。
<参考文献>
Tang A, Fox NA, Slopen N. Examination of Early Childhood Temperament of Shyness and Social Avoidance and Associations With Cardiometabolic Health in Young Adulthood. JAMA Netw Open. 2022 Jan 4;5(1):e2144727. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2021.44727. PMID: 35084482; PMCID: PMC8796016.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35084482/