立ち上がるときに血圧が下がって立ちくらみを起こすというのはよく聞きますが、逆に血圧が上昇して頭痛やめまいなどを起こす人もいます。このたび、海外研究から、そんな人でも立ち上がるときに血圧が上がるタイプの人は、そうではないタイプに比べて心臓発作や脳梗塞になるリスクが2倍という報告がありました。若いうちから注意が必要のようです。
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血圧が上がる人と下がる人を比べる
血圧は測定する状況によって、また1日のなかでも変動しますが、一般的に立ち上がるときには血圧(収縮期血圧、高いほうの血圧値)が少し下がるのだそう。
今回、イタリアの研究グループが調べたのは、この逆の反応、つまり立ち上がるときに血圧が上がる場合です。対象としたのは、血圧についてのイタリアで行われている研究の参加者で、I度高血圧(140〜159 mm Hg/90〜100 mm Hg)の1200人(18〜45歳)です。高血圧は140/90mmHg以上の場合であるため、比較的軽度の高血圧の人たちとなります。ライフスタイルや健康状態に基づいて心臓や血管の病気になるリスクは低いとみなされ、降圧剤なども服用していなかった人たちです。
24時間自由行動下での血圧など、寝ているときも含めて6種類の血圧を測定。立ち上がるときに収縮期血圧が上がった120人(全員6.5 mm Hg以上の上昇で平均11.4 mm Hg)と、ふつうに下がった(平均3.8 mm Hgの減少)残りの人たちの2グループに分けて、心臓発作や血管が膨らんでしまう動脈瘤、腎臓の機能が低下する慢性腎疾患などのリスクを比べました。平均17年の追跡期間中に、105件の心臓および血管の病気が発生しました。
ストレス反応が強い可能性
こうしてわかったのが、立ち上がるときに血圧が上がったグループは、下がったグループと比べて心臓および血管、腎臓の病気になるリスクがほぼ2倍だということでした。
参加者のうち630人でストレスホルモンの測定も行ったところ、立ち上がるときに血圧が上がったグループでは強い反応があり、交感神経が高まっている可能性がありました。
血圧が上がったグループは喫煙者の割合が多かった一方で、コレステロール値はむしろよいくらいでした。血圧が下がったグループと比べて運動、家族の病歴、肥満の条件は同じでした。ふだん血圧などの問題がなくても、立ち上がるときに血圧が上がる場合は対策を考えたほうがよいのではと、研究グループは指摘しています。立ち上がったときに頭痛やめまいを感じる人は気をつけておくとよいかもしれません。
<参考文献>
Palatini P, Mos L, Saladini F, Rattazzi M. Blood Pressure Hyperreactivity to Standing: a Predictor of Adverse Outcome in Young Hypertensive Patients. Hypertension. 2022 Mar 17:HYPERTENSIONAHA12118579. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.121.18579. Epub ahead of print. PMID: 35296159.
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/HYPERTENSIONAHA.121.18579
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35296159/
If blood pressure rises upon standing, so may risk for heart attack
https://newsroom.heart.org/news/if-blood-pressure-rises-upon-standing-so-may-risk-for-heart-attack