産後の姿勢の特徴。スウェイバック姿勢とは？

妊娠月数に伴い、お腹の中の赤ちゃんが大きくなっていくことにつれてお腹は前方へ突出してきます。お腹の前方への突出と釣り合いをとるため、徐々に重心はうしろにシフトしていきます。

スウェイバック姿勢とは、骨盤前方シフトに伴う、胸椎後弯（きょうついこうわん）、頭部前方シフトのことをいいます。簡単にいうと、腰を反らせて、猫背になるような姿勢がスウェイバック姿勢です。この妊娠中特有の姿勢が、産後も継続されていることが多く、さらに産後は授乳姿勢や赤ちゃんを抱っこすることなどの環境が変わることにより、スウェイバック姿勢になりやすくなります。産後の姿勢変化はさまざまで、すべての人がスウェイバック姿勢になるということではありませんが、非妊娠時とは異なる姿勢をとることは明らかです。

胸郭のアライメント（骨配列）を整えることが大切

妊娠経過に伴い子宮が大きくなっていくにつれて、ろっ骨が前に押し出されていきます。そして胸椎は後弯してくるため、姿勢を横からみたときにお腹と胸の間が「く」の字になってきます。
スウェイバック姿勢を改善するためには、まず「く」の字に曲がった胸郭を伸ばしていくことが大切です。お腹の前面の硬さがあるままでは胸を張ることができず、スウェイバック姿勢は改善しません。

スウェイバック姿勢を改善するためには、
1.胸郭の伸展性向上
2.胸郭前面の硬さをとる
この２つがポイントです。

胸郭とは…胸部の外郭を作るかご状の骨格。胸椎、ろっ骨、胸骨からなり、心臓、肺などの臓器を支えて保護する。

スウェイバック姿勢の改善エクササイズ！

（１）胸郭伸展性向上ストレッチ

［方法］
1) 椅子に座り、片側の手を上に伸ばし、体側の手をろっ骨にあてます
2) 体を側屈し、ろっ骨にあてている手のところに吸気を肺に入れるようにイメージしながら呼吸します。押さえている手を肺で横に押し広げるように息を吸います。
3) 呼吸を３回行い、体をゆっくりともとの位置に戻していきます
この動作を左右３セットずつ行いましょう。
＊呼吸は鼻から吸い、吐くときは口から吐きましょう。肺が胸郭のなかで広がっているのをイメージしながら行うことがポイントです

（２）パピーエクステンション

［方法］
1)うつ伏せで両ひじを肩の真下からやや外側におきます。
2)息を吸いながら、頭から頸椎、胸椎の順にゆっくりと遠くに伸びるように胸椎を反らせながら胸を持ち上げていきます。

3)息を吐きながら、頭から頸椎、胸椎の順にゆっくりと胸椎を屈曲していきます。
4)この動作を10往復行います。

＊呼吸は鼻から吸い、吐くときは口から吐きましょう。腰が反り過ぎないように注意しましょう。おへその下にバスタオルを敷くと腰への負担が軽減します。

次回は、産後の姿勢変化を予防するための日常生活の注意点と、助産師による「正しい授乳姿勢と抱き方のコツ」について解説します。