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CATEGORY : フィットネス |トレーニング

理学療法士が教える「産後ダイエット」。下半身太り解消編&助産師解説。妊娠中、産後に注意すべき病気とは?

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自宅でヒップリフト

こんにちは! 理学療法士でトレーナーの伊藤です。今回は、産後のお悩みで多い下半身太り解消に効果的なエクササイズをご紹介します。後半は、助産師・瀧口小百合さんによる妊娠中から産後にかけて注意しなければならない「深部静脈血栓症」の予防方法ついて解説します。

監修 : 伊藤 彰浩

株式会社MEDI-TRAIN代表取締役。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、理学療法士。JIN整形外科スポーツクリニック、リバーシティすずき整形外科でトップアスリートから子ども、高齢者まで幅広い年代に向けたリハビリテーションを経験。東京広尾の女性専用パーソナルトレーニングスタジオにてダイエット指導やボディメイクなどの経験を持つ。現在は、神奈川、東京都内を中心に、オリンピック強化指定選手のパーソナルトレーニングや、産前産後ケアの分野など幅広く活躍中。

株式会社MEDI-TRAINリンク
Instagram(産前産後onlineチームケアMY Team)リンク

Contents 目次

産後の体型戻し。下半身太り解消に効果的なエクササイズ

お尻周りの筋肉図
図.大殿筋の解剖

産後の体型変化でとくに気になる部位が、ぽっこりとしてしまったお腹とお尻まわりのたるみです。
産後の下半身太りを解消するためには、お尻のうしろにある大殿筋(だいでんきん)と、横側にある中殿筋(ちゅうでんきん)をバランスよく鍛えてあげることが大切です。
大殿筋と中殿筋を鍛えることで、ヒップアップやお尻を引き締めることができます。また、大殿筋、中殿筋は、骨盤がぐらつかないように骨盤を支える役割をもつため、姿勢保持や立位バランスの安定性にも関係します。
今回は、ヒップアップに効果的な大殿筋エクササイズをご紹介します。

【大殿筋エクササイズ(ヒップリフト→シングルヒップリフト)】

床にあお向けに寝て、両ひざを立てる

1) 床(マット)の上にあお向けに寝て、両ひざを立て、足は腰幅に開きます。両腕は体側に置きます。手のひらは床に向けるか天井に向けるか、落ち着くところで大丈夫です。

床にあお向けに寝て、両ひざを立てながらお尻を持ち上げる

2) 両足の裏全体でしっかりと床を押して、お尻を持ち上げます。横から見た時ときに、肩‐腰‐ひざまでが一直線になるように意識します。持ち上げた状態で3秒キープします。3秒かけてゆっくりと元の位置におろしていきます。お尻を持ち上げたときに腰が反らないように注意してください。
この動作を10回行います。

エクササイズ中は呼吸を止めないようにしてください。慣れてきたら、次に紹介する片脚でのシングルヒップリフトにもチャレンジしてみてください。

床にあお向けに寝て、片ひざを立てながらお尻を持ち上げる

3) 1の状態から片ひざを立てて、足の裏全体でしっかりと床を押して、お尻を持ち上げます。持ち上げた状態で1秒キープします。片足の裏全体の感覚を持ったまま、3秒かけてゆっくりと元の位置におろしていきます。この動作を左右10回ずつ行います。

妊娠中および産後の深部静脈血栓症の予防方法

脚をもんでいる妊婦さん

ここからは、助産師の瀧口がお届けします。
前回の記事『理学療法士が教える「産後ダイエット」。体型戻しに効果的な体幹トレーニング&助産師解説。妊娠中、産後のむくみの原因と対策法』でもお伝えしましたが、妊娠中・産後に注意しなければならない病気に、下肢の「深部静脈血栓症」というものがあります。

深部静脈血栓症とは、足から心臓に戻る血管(静脈)の中で血液の固まりができて詰まってしまうというもので、いわゆる「エコノミークラス症候群」のことです。妊娠すると血液が固まりやすくなるため、深部静脈血栓ができやすくなります。

なぜ、妊娠中・産後に深部静脈血栓症が起こりやすくなるかというと、
1. 出産時には500cc程度の出血が見込まれるため、出血のリスクから母体を守るために、妊娠後期になると血液の凝固機能が高まる。

2. お腹が大きくなると子宮で腹腔内の静脈が圧迫されて血流が悪くなる。

3. 妊娠するとエストロゲンの分泌量が増える。(女性ホルモンのエストロゲンには、血液を固めやすくする性質がある)

4. 妊娠すると母体の血液量は、非妊娠時の約1.4倍となり、それにともない血小板や白血球の量も増える。そのため血液が固まりやすくなる。
などの理由があります。

つわりがひどくて脱水になった場合や、脚が急に腫れて左右差がある場合、ひどい足の痛みがある場合には、深部静脈血栓症の可能性があります。脚に血栓ができた場合には、すぐに治療が必要な場合があります。

妊娠中・産後の深部静脈血栓症を予防するには、
・頻尿になるからといって水分を控えないこと。
・冬場でもしっかり水分をとる。
・締めつけた衣服は避ける。
・長時間同じ姿勢をとらない(デスクワークや車移動、飛行機のフライトなど)。
・足首や足指の体操、ストレッチを行う。
などを心がけてみてください。

帝王切開での出産では、帝王切開後の安静により、経腟分娩より血栓症のリスクが7~10倍高まると言われているため注意が必要です。術後は、深部静脈血栓症予防の対策としてフットポンプ(間欠的空気圧迫装置)や弾性ストッキングを使用して血流をよくしていきますが、ベッド上でも足首を回したり、足の指の上げ下ろしや閉じたり開いたりする運動を少しずつ行っていきましょう。

日ごろからストレッチや体操を習慣化しておくと、妊娠中・産後のむくみや深部静脈血栓症のリスクも少なくなるので、スキマ時間のエクササイズをとり入れてみてくださいね。

助産師・瀧口小百合さん

【監修協力】
産前産後onlineチームケアMY Team/助産師・瀧口小百合さん

山口大学医学部保健学科助産師コース卒業(看護師、保健師、助産師)
東京大学病院女性外科勤務
結婚後神奈川のフリースタイル分娩の湘南厚木病院産科勤務

助産師、保健師、看護師の資格を取得後、東京大学病院女性外科にて勤務。
その後、結婚して神奈川のフリースタイル分娩をしている総合病院で助産師として働き、夫の転勤にて退職後、専業主婦として小学生2人の子どもを育てており、兵庫、横浜、旭川の転勤経験あり。
転勤先で出会ったお母さんやお子さんたちとの関わりの中から病院勤務時代では知らなかった育児の心配などさまざまな声を聞き、子育てするお母さんたちの支えになりたいと感じる。
お母さんがひとりの女性として楽しく元気に自分らしく過ごしていけるお手伝いをしたい、という思いから産前産後オンラインチームケアMy Team に参加。現在、オンラインにて母子相談を行なっている。

産前産後onlineチームケアMY Teamの画像

 

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