第1回では、血管の状態がダイエット成功のカギであることをお伝えしました。血管が硬くなっていると少し食べただけでも太りやすいのに対して、血管がやわらかければ少しくらい食べ過ぎても太る心配はないのです。とはいえ、加齢とともにどんな人でも血管は少しずつ硬くなってしまうもの。だからこそ、今日から血管若返りダイエットを始めましょう!今回は高橋亮先生の著書『東大名医の血管若返りダイエット』(三笠書房)から、どんな運動をして、どんな食事をとればいいのかをご紹介します。著者自身もこのダイエットを実践し、1年2か月で体重-15㎏に成功したという“とっておき”の方法です。
Contents 目次
「ハードな運動」ではなく「ゆるい運動」がダイエットの正解!
ダイエットしたいなら、加齢や生活習慣で硬くなっている血管をしなやかなやわらかい状態に戻すこと。そのために最も効果的なのは運動です。
と言うと、運動嫌いの人は、やっぱり運動しないとやせられないんだ……とガッカリするかもしれませんが、ご安心ください。運動といっても、ランニングやハードなエクササイズ、ツラい筋トレのようなものはしなくてOK。むしろ、ハードな運動はNGなんです。
なぜなら、血管をやわらかくするには、血管の内膜にある細胞からNO(一酸化窒素)という物質を出すことが必須だから。NOの産生を促すには、ハードな運動よりも、少し汗ばむ程度のゆるい運動のほうが効果的。ヨガのポーズや軽いストレッチのような動きで十分なのです。
1日3食のリズムを維持して、血糖値スパイクを防ぐ
では、食事はどんな風にとればいいのでしょうか。血管若返りダイエットのルールは簡単で、1日3食、栄養価の高いものをしっかり食べることです。そんなことをしたら太ってしまうと思うかもしれませんが、ダイエットに失敗する多くの方が、3食をガマンした反動で、間食を食べてしまっているのです。まずはきちんと3食をとることで、間食をなくしましょう。
間食がよくない理由として、小腹がすいたときに食べてしまうものが、スナック類やスイーツ、清涼飲料水といった、ジャンクフードに偏りがちということも挙げられます。間食にジャンクフードをとると、食後に下がっていた血糖値がビューンと上昇する「血糖値スパイク」が起こります。すると、血管には大きな負担がかかり、何度もくり返されることで血管が硬くなってしまうのです。
また、ジャンクフード、なかでも糖質の多いものをとり過ぎると、体内のたんぱく質が糖と結合して「AGEs」というものができます。AGEsは強い毒性を持ち、老化を早める原因物質とされています。肌の弾力を奪ってシミ・シワを作ったり、動脈硬化も進行させるのです。
ダイエット中でも、栄養価の高いものなら食べてもいいんです。そのかわり、ジャンクフードだけは避けましょう。
「朝食をしっかり食べる」がダイエットの正解とは限らない
1日3食をどんなバランスでとればいいか。おすすめは、朝食:昼食:夕食を1:2:2のバランスでとることです。
これまでのダイエットの常識では、朝食はしっかり食べて、夕食を控えめにというのが一般的ですよね。でも、朝食をしっかり食べることには、思わぬデメリットが。実際に朝食をたっぷり食べる日と、軽く食べる日を作って実験してみたところ、朝食をたっぷり食べるとかえって昼間の空腹感が強くなり、結果的に1日の摂取エネルギー量が増える傾向にあったのです。
また、朝食を少なくするほうがいいのは、「BMAL1」というたんぱく質の量も関係します。体内リズムを調整しているBMAL1は、肥満遺伝子とも呼ばれ、脂肪の合成を促す働きがあります。このBMAL1の出る量は時間帯ごとに変わり、22時~夜中の2時に最も多く出るのですが、実は朝6時頃には夜中の22時と同じくらいの量が出ています。つまり、朝早くにボリュームたっぷりの朝食を食べると、夜遅くにたくさん食べたのと同じ状態になり、体には脂肪をため込みやすくなるのです。だからこそ、朝ご飯は8時くらいのちょっと遅めの時間に軽くとるのがおすすめ。意外かもしれませんが、忙しい毎日の中でも実践しやすいのではないでしょうか。
【参考書籍】
『図解でやせる! ズボラでも体重10㎏減、続々! 東大名医の血管若返りダイエット』(三笠書房)
【監修】高橋 亮
医師、医学博士。東京大学医科学研究所所属。外科専門医、内科認定医、麻酔科標榜医、移植学会認定医、内視鏡学会専門医など、多数の専門医資格を保有。2020年、未公開の薬剤を用いた実験で、がんの転移を抑制できることを世界で初めて証明。がん再発のメカニズムの解明に取り組む過程で、血管および血管壁の重要な役割に気づき、そのパワーを多くの人の健康に役立てるために「血管若返りダイエット」のノウハウを考案した。
文/出雲 安見子