体によい菌-プロバイオティクスはさまざまな観点から関心を集めています。腸内の環境を整えることが、整腸効果はもちろん、心身の健康や美容にもつながるとの報告も。今回、海外研究において、プロバイオティクスのなかでも特にラクトバチルス菌とビフィズス菌が内臓脂肪と皮下脂肪を減らすと報告されました。メタボや減量対策になるということで、うれしい結果です。
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腸活で体重が減るの?
プロバイオティクスは、摂取すると健康によい効果をもたらしてくれる菌。そんなプロバイオティクスを利用した腸活が減量につながるという研究結果はいろいろ出ていますが、腸内細菌によって食物繊維が分解され、食欲を抑えたり、代謝を高めたりする効果があると注目されています。では、実際にそれで体脂肪は減るのでしょうか。
今回、スペインの研究グループは、プロバイオティクスが皮下脂肪と内臓脂肪の量に与える影響について調べた研究を集め、まとめて分析しました。全部で14件の研究(合計参加者1500人あまり)から、プロバイオティクスの使用によって変化した皮下脂肪や内臓脂肪の量の平均値を求めました。さらに、ビフィズス菌の効果を調べた研究、ビフィズス菌の効果を調べた研究、複数の種類を含む混合型の効果を調べた研究をグループ分けし、それらの種類による違いも調べました。
含まれる菌によって違いがある?
一連の研究で確認されたのが、プロバイオティクスは内臓脂肪も皮下脂肪も減らす働きがあるものの、菌のタイプによって違いが見られることです。
具体的に見ていくと、プロバイオティクスの効果を調べた研究全体では、プロバイオティクスを摂取することで内臓脂肪と皮下脂肪の両方を減らせることが確認されました。そのうえで、研究ごとに摂取している菌が異なっているため、それらを分けて分析すると、ラクトバチルス菌を単体でとった研究では内臓脂肪と皮下脂肪の両方を減らせることが確認されましたが、ビフィズス菌を単体でとった場合には、内臓脂肪は減らせたものの、皮下脂肪を減らすことはできませんでした。複数の菌を含む混合型のプロバイオティクスでは、皮下脂肪は減らせたものの、内臓脂肪では効果が見られませんでした。
また、プロバイオティクスの量が多ければ、多くの脂肪が減るというわけではありませんでした。というのは、1日のプロバイオティクス摂取量と脂肪の減少、あるいは内臓脂肪や皮下脂肪の減少との間にはいずれも関連性が見られなかったためです。
今後、プロバイオティクスの研究がさらに進むにつれて、より詳細なメカニズムの解明につながることが期待されます。
<参考文献>
Porchia LM, Vazquez-Marroquin G, Ochoa-Précoma R, Pérez-Fuentes R, Gonzalez-Mejia ME. Probiotics’ effect on visceral and subcutaneous adipose tissue: a systematic review of randomized controlled trials. Eur J Clin Nutr. 2022 Dec;76(12):1646-1656. doi: 10.1038/s41430-022-01135-0. Epub 2022 Apr 13. PMID: 35418606.
https://www.nature.com/articles/s41430-022-01135-0