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その不調、血液からのSOSかも⁉︎ ドクターが解説! やせにくい体にも関係する血液が汚れる4つの原因とは?

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疲労

いつも体がだるい、肩がこって仕方がない、疲れがとれない、冷えやむくみがひどい、ダイエットをしても体重が減りにくい…ということはありませんか。“なんとなく不調”は血液の汚れが関係しているかもしれません。医師の栗原 毅先生によると、血液検査は正常でも、血液がネバネバ・ザラザラ・ベタベタの状態、中医学でいう「瘀血(おけつ)」の状態の人が増えているそうです。今回は栗原先生の書籍『中性脂肪減×高血圧改善×動脈硬化予防 1日1杯血液のおそうじスープ』からご紹介していきます。

監修 : 栗原 毅

栗原クリニック東京・日本橋院長。医学博士。1978年、北里大学医学部卒業後、東京女子医科大学消化器病センター内科入局。1987年より東京女子医科大学で消化器内科、特に肝臓病学を専攻し、2005年に教授に就任。2004年、中国中医研究院客員教授、2007年、慶応義塾大学教授に就任。2008年に消化器病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防と治療を目的とした「栗原クリニック東京・日本橋」を開院。テレビ、新聞、雑誌などのメディアでも、わかりやすい解説が人気を博す。血液サラサラの提唱者の一人として知られる。

Contents 目次

血液検査の数値は正常でも 「瘀血」の人はたくさん

血液

過去に、栗原先生が行った約3000人分の血液検査データと、血液の流れを測定するMC–FANという装置で測定したデータを比較する研究では、驚くべきことに、血液検査の数値は基準値の範囲内なのに、血液の流れが悪い人が多くいました。

「この研究により、血液の汚れはかなり悪化しないと血液検査の数値には表れない可能性があることがわかったのです。実際に検査をしても『なんら異常は見つからない』という患者さんの血液をMC–FANで確認すると、やはり流れが悪くなっているということがあります」(栗原先生)

中国の医学(中医学)では、「未病」という考え方があります。未病とは、「病気ではないが健康でもない状態」のことで、だるい、疲れやすい、肩がこるといった症状は未病の典型。そしてその原因が「汚れた血液」(瘀血)であると考えられています。

近年、瘀血状態の人が急増しているそう。特に若年層は深刻で、20代でも瘀血の人がおり、孫がおばあちゃんより血液がよくないということがあるそうです。

血液を汚す4つの原因

砂糖

血液は赤血球、白血球、血小板という3種類の血球と血漿(けっしょう)で構成されています。血液の汚れはさまざまな要因により、血球同士がくっつき合うことで発生します。血球が巨大化することで、血管内をスムーズに通れなくなり、血液の流れがどんどん悪くなっていきます。

それではどうしてこのような瘀血の状態になってしまうのでしょうか。

「血液が汚れる原因はさまざまですが、なかでも凶悪な“汚れの原因”が4つあります。それは『糖』『中性脂肪』『ストレス』『口腔内の悪玉菌』です」と栗原先生。

瘀血の原因をひとつひとつ見ていきましょう。

【糖】 糖は体を動かすときの燃料となる栄養素で、生命活動には欠かせません。ただし、とり過ぎると血液はネバネバになり、流れが悪くなり、ときには血管を詰まらせます。また、慢性的に血液中の糖が増えすぎた状態になると、糖尿病になってしまいます。

【中性脂肪】 中性脂肪は糖が不足したとき糖の代替燃料として使われます。また、体温を保つ、内臓を正しい位置に固定するなどの働きをします。しかし、使われなかった中性脂肪は体脂肪として内臓のまわりや皮下に蓄積され、その中性脂肪が血液に溶け出すと、糖と同様に血液が粘っこくなり、血管を詰まらせるなど、体にさまざまな弊害をもたらします。特に内臓についた中性脂肪は血液を汚しやすく、あらゆる生活習慣病の原因になります。

疲労とストレス

【ストレス】 いつもイライラしている、強いストレスを感じているような人は血液が汚れている可能性が高いです。ストレスが血液に与える影響は想像以上に大きく、強いストレスを受けた瞬間、血液が一気に粘っこい状態になって、流れが悪くなることさえあります。注意してほしいのは、ストレスは心に受けるものだけではないということです。過労や寝不足、運動のし過ぎなど、肉体への負荷も大きなストレスになります。

【口腔内の悪玉菌】 近年の研究で、口腔内の悪玉菌が血液を介して全身に広がり、さまざまな病気を引き起こすことがわかってきました。特に歯周病菌は糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞、認知症などの原因になることが明らかになっています。こういったことから、口腔内の悪玉菌、なかでも歯周病菌は血液中を漂う汚れのなかでもかなりタチの悪いものといえます。

きれいな血液の人はやせやすく、太りにくい

ダイエット

そして“食事制限をしてもなかなかやせられない”原因のひとつが血液の汚れであることも知っておきましょう。

「血液は体内の老廃物を回収して排泄する働きも担っているため、血液が汚れていて流れが悪くなると、いくら食事制限をしても体から老廃物が出ていってくれなくなるのです」

老廃物が体にたまり、巡りが悪い状態ではなかなかやせることは不可能。そしてもうひとつの問題は血液が汚れて流れが悪くなると、太りやすい体質になってしまうこともあります。

「血液は体のすみずみに栄養を届ける役目も担っているため、流れが悪くなると体のあらゆる組織に栄養が十分に行きわたらなくなり、働きが悪くなってしまいます。私たちが食事から摂取したエネルギーや栄養を使っているのは、内臓をはじめとした体の組織です。そのエネルギーの使い手の働きが悪くなれば、それほど多くのエネルギーは必要なくなります。エネルギーの消費量が減っているのにたくさん食べれば多くのエネルギーが余ります。その余ったエネルギーは悲しいかな、ほぼすべてが脂肪となって内臓のまわりや皮膚の下に蓄積されます」

年齢を重ねるごとに、体のなかでは内臓や筋肉などの“エネルギーの使い手”の活動が低下していく傾向があります。特に中高年以降はその傾向がより強くなるため、体重を落とすことが難しくなるのです。

不規則な生活をして、脂肪や糖の多い食生活をくり返していると瘀血になる可能性大。また逆に極端な食事制限も栄養のバランスを崩し、血液の汚れの原因になりやすいとのこと。血液の流れをよくして、体内のエネルギーの使い手である内臓や体の組織の働きを活性化することが、余分な脂肪を増やさない秘訣であることがご理解いただけたのではないでしょうか。
次回は、栗原先生考案の「血液のおそうじスープ」をご紹介していきます。

 

参考書籍/

『中性脂肪減×高血圧改善×動脈硬化予防 1日1杯血液のおそうじスープ』(アスコム)

『中性脂肪減×高血圧改善×動脈硬化予防 1日1杯血液のおそうじスープ』(アスコム)

 

文/庄司真紀

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