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約4割は何もせず放置⁉︎ デリケートゾーンの不快感…トラブルとその対処法をドクターがアドバイス!
最近よくフェムケアが話題になりますが、生理のときのかゆみやニオイなどデリケートゾーンの不快感、どのように対処するのがいいのでしょうか? 持田ヘルスケアの調査では、トラブルがあっても何もしないままの人や、ケア方法がわからないという人が多いということがわかっています。デリケートゾーンのトラブルとその対処法について産婦人科医の髙橋怜奈先生がアドバイスします。
Contents 目次
トラブルがあっても「何も対応しない」まま放置⁉︎
持田製薬グループの持田ヘルスケア株式会社は、全国の20代〜40代の女性2万人を対象にした、生理とデリケートゾーンケアに関する調査を行いました。
まず、生理のときの不快感について聞くと、全体の73.9%が「不快を感じる」と回答。そして具体的に不快を感じることを聞くと、「頭痛、腹痛、腰痛、下腹部など体の痛み」(76.4%)、「デリケートゾーンのトラブル」(64.3%)、「気分の落ち込みやイライラ」(63.5%)の順に。
多くの女性が、かゆみ、ニオイ、ムレ、かぶれなどのデリケートゾーンのトラブルを抱えていることが明らかになりました。
また、生理で不快感を覚えた際の対応を聞くと、頭痛、腹痛、腰痛、下腹部など体の痛みに対応していないのは2割と少ないのですが、デリケートゾーンのトラブルでは約4割が「対応していない」(39.1%)と答えています。
一方でデリケートゾーンは「ニオイが発生しやすい」(93.7%)、「デリケートゾーンには細菌や真菌(カビ)が発生する」(83.2%)、「デリケートゾーンはやさしくケアする」(73.8%)と大多数の人が正しい知識をもっていることもわかりました。
デリケートゾーンについて知識としては正しく理解している方が多い中、不快感があっても、実際にその知識を生かしてデリケートゾーンのケアを実践できている方はまだまだ少ないのが現状のようです。
正しいデリケートゾーンケアの4つのポイント
正しいデリケートゾーンのケアは? 気になるポイントについて、東邦大学医療センター 大橋病院 産婦人科 助教の髙橋怜奈先生がアドバイスします!
1.デリケートゾーンまわりの不調は、生活習慣を少し変えるだけで改善する患者さんも多い
私が週に1回、産婦人科クリニックで診療をしていていちばん多いと感じる主訴はデリケートゾーンのかゆみやニオイの異常などです。なかには『デリケートゾーンの異常=性感染症かも?』と慌てて受診される方も多いです。性感染症を疑ったときに産婦人科受診をすることはとてもすばらしいことですが、性感染症でなくてもデリケートゾーンに異常がでることや、おりものの異常がある可能性もあるということを知ってもらいたいなと思います。そして生活習慣を少し変えるだけでも、改善する患者さんも臨床現場には多いです。
2.「洗い過ぎ」や「擦り過ぎ」 洗浄剤、洗い方、下着を見直して
デリケートゾーンがかゆいとおっしゃる方のなかには、明らかに洗い過ぎ、こすり過ぎの人がいます。体を洗うボディソープでそのままデリケートゾーンをごしごし洗っていたり、トイレットペーパーでこするようにふいていたりします。ボディソープは洗浄力が高く、香料が含まれていたりして、デリケートゾーンを洗うのには適していません。また最近はマスクをする口まわりの肌荒れが気になるという方が増えていますが、じつはデリケートゾーンも、サイズの合わないきつい下着を着けていたり、肌に合わない下着を着けていたりすると湿疹ができたりするのです。
3.顔にしないことはデリケートゾーンにもしない
ゴシゴシとタオルでこする、カミソリで毛を剃る、かきむしる、洗浄力の強いボディソープで洗うなど、どれもトラブルの原因になり得ます。『顔にしないことはデリケートゾーンにもしない』が原則です。
おりものに異常やかゆみがあると、余計きれいにしようと入念に洗ったり、トイレットペーパーで完全に拭きとろうと、こすってしまったりしますが、腟には本来外からの雑菌の混入を防ぐために腟内を酸性(通常pH値が3.8〜4.5)の状態に保つ自浄作用があります。
そして、それは腟内に生息する乳酸菌の一種である『デーデルライン桿(かん)菌』のお陰です。しかし腟内まで洗ったり、洗浄力の強いソープを使ったりすると自浄作用が破綻してしまいます。風邪をひいたり疲れていたり、抗生物質の服用でも自浄作用は破綻します。
4.洗うときには「やさしく、泡でなでるように」
洗う際は、デリケートゾーン専用のソープをしっかり泡立て、泡でなでるようにして外陰部を洗いましょう。腟内まで洗うのはNGです。女性器にはひだがあり、そこに垢がたまりやすいので和式トイレにしゃがむような体勢でがばっと脚を開き、ひだの間もやさしく洗いましょう。あくまでもやさしく、泡でなでるように、が原則です。そして用を足したあとはトイレットペーパーでこすらず、トイレットペーパーをふんわりと折りたたんで、水分を吸収させるように押し当てましょう。
またデリケートゾーンのトラブルがある方は、より清潔にしようとウォシュレットやビデを頻繁に使う方も多いですが、じつは温水洗浄便座を常用することが、膀胱炎や腟炎のリスクを増加させることがさまざまな研究でわかっています。たまにさっぱりしたいときや、便秘のときに使うならよいですが、もし膀胱炎や腟炎をくり返している方のなかでウォシュレットやビデを常用している方がいたら、一度やめてみるのも手でしょう。
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気になるデリケートゾーンの不快感。このようにふだんの習慣がデリケートゾーンの不調につながっていることもあります。少し気をつけることで、今まで悩んでいたデリケートゾーンのトラブルが解消するかもしれません。
文/庄司真紀