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食事の見直しが心を立て直すきっかけに! 7年間のうつを脱した精神科医の「心をラクにする食事法」とは?

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食事とメンタル

7年間、うつを患っていた精神科医・産業医の宮島賢也先生。心を救ったのは食事だったといいます。うつではなくても、ストレスを感じている人、疲れがなかなかとれない人、やる気がでなかったり、よく眠れなかったりする人にもよい宮島式食事法とは? 宮島先生の著書『メンタルは食事が9割』からお伝えしていきます。

Contents 目次

食事でメンタルを回復する

メンタルの回復

一般的にうつの症状は心と体にあらわれ、気分の落ち込みや憂うつな気分、集中力や意欲の低下、または食欲が低下したり、逆に極端に食欲が増したり、眠れなくなる、疲れやすくなるなど、こうした状況が2週間以上続くかどうかが診断の基準とされています。

現代では、仕事のある日だけ症状が出る「新型うつ」や、うつ以前に心身ともに疲労困憊でも休めずに走り続けているという人も少なくありません。

「産業医としてさまざまな人と接していますが、ギブアップ寸前で内なる悲鳴が聞こえてくる人が大勢います。うつの原因とされるのは、仕事や人間関係からくるストレスや完璧主義などの個人の性格ですが、ストレスをとり除くことも、自分を変えることも簡単ではありません。結局は薬に頼らざるを得ないのですが、それは対処療法に過ぎないということを私は身に染みて実感しています」(宮島)

宮島先生は2000年にうつ病と診断され、それから7年間うつを患いました。

「僕の場合は医師としての自分に自信がもてずに、診察するときはいつもびくびく、将来に向けては不安だらけ。そんな心の状態がうつへの引き金になりました」と振り返ります。

そして、うつから抜け出すきっかけになったのは、食事の改善でした。

「性格は変わりませんし、仕事も生活環境も、人間関係もまったく同じでしたが、変えたものがひとつだけありました。それが食事です。食べ物と食べ方を変えたところ、僕の場合は2週間で明らかな変化があらわれました」

宮島式食事法のポイントは3つ

食事

アメリカ生まれの『ナチュラルハイジーン』という食事法に基づいた『宮島式食事法』。ポイントは以下の3つです。

1.体に負担をかけない食事を心がける
2.腸内環境を整える食事を心がける
3.脳に栄養を与える食事を心がける

3つのポイントはすべて“心がける”とあるように、完璧を求める必要はありません。食事を変えることができている自分を確認できれば十分。

「まず、“体に負担をかけない食事”にすると体がラクになります。すると、ちょっとした動きや考えたりすることが面倒でなくなります。次に“腸内環境を整える”と、腸と関連性が深い脳の動きがよくなります。心と体がスムーズに動かなくなるのは、ストレスによって脳の動きが悪くなるから。腸内環境がよくなると脳内の神経伝達物質の分泌がよくなり、脳の活動が再び活発になります。そして、“脳に栄養を補給すること”も必要です。私たちの脳は、ストレスを受けると脳の活動に必要な栄養素も不足しがちになるからです」

宮島先生が最初に実践したのが、“体に負担をかけない食事”でした。果物と生野菜中心の食事によって消化にかかる負担を軽減、これにより「体が軽く感じられ、よく眠れるように。久しぶりに楽しいという感覚がよみがえってきた」そうです。そして、なんと2か月で20kgも減量し、体の調子がどんどんよくなっていくことを実感できました。

 

性格や環境を変えることは大変ですが、“食事を見直すくらいならできるかもしれない”が、宮島先生のメンタル不調の克服のきっかけとなりました。ストイックに実践しなくても“満腹ではなく、腹八分目”というのでも効力があります。

次回は宮島先生の食事法について詳しくみていきましょう。

(※現在、薬を服用している人は、いきなり薬を止めるのではなく体調と相談しながら宮島式に取り組むようにしましょう)

 

文/庄司真紀

 

参考書籍/

『メンタルは食事が9割』(アスコム)

『メンタルは食事が9割』(アスコム)

 

著者/

宮島賢也

宮島賢也
精神科医・産業医。1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業。研修中、意欲がわかず精神科を受診、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から、「薬でうつは治らない」と気づき、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服する。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係をラクにする「メンタルセラピー」を考案する。心の深い世界を知ったことから、さらに探求を開始し、現在は産業医などをしながら、心の不調の予防や教育により一層関われる方法を模索中。

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