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食べ過ぎは心身を疲れさせる!? うつを脱した精神科医が実践する、心と体に毒をためない食習慣とは?

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食事

体が元気なときは活力源となる食事も、ストレスが多いときは心身を疲れさせる原因になることもあります。「食べることは意外に体を疲れさせる」と話すのは、精神科医の宮島賢也先生。宮島先生の著書『メンタルは食事が9割』から、メンタル不調によい食事術についてお伝えしていきます。

Contents 目次

メンタルの不調には体に負担をかけない食事を

食事

私たちの体は食べものから栄養をとることで活動エネルギーに換えています。しかし、栄養を体に行きわたらせるには消化吸収が必要で、心身が疲弊しているときはそれが消化器の大きな負担になってしまうのです。

「胃腸や肝臓に頑張って働いてもらうために大量の血液を送り、体内酵素も使われます。消化器官からすれば食べることは一大イベント。いつも満腹に食べてしまうと、それだけ胃腸や肝臓に負担をかけることになり、食べる前よりももっと疲れてしまうのです」(宮島先生)

酵素は生命活動の全般にかかわる体の働き手。日ごろから小食を心がけている人に健康な人が多いのはこのためです。

「体内酵素の生産量には限界がありますが、食事で補うことができます。それが生野菜や果物で、僕もうつからの回復期には食事の中心に据えて食べていました。消化に使われずに温存された酵素は、傷んだ器官や皮膚、神経、内臓などの修復に向かいます。食べ過ぎを避け、酵素を温存することで健康を維持する力そのものが高まるわけです。それは心のケアにおいても一緒です」

心と体に毒をためない『宮島式食事法』

野菜や果物

宮島先生がうつから回復したときに食べていた食事法をご紹介しましょう。

●朝は果物を3〜4種類

午前中は排泄の時間。前日食べたものを朝すっきりと排泄することが1日をリズムよく過ごすカギとなります。

「人間の生理サイクルを考えたとき、午前中にしっかり便を出すことはとても重要なことです。そのため朝は排便運動を妨げない食品をとることがポイントになります。その点、果物は酵素が豊富で消化に負担をかけないため理想的な食べものといえます」

●昼夜は野菜、果物に玄米ごはん

昼食では野菜、果物、玄米が中心になります。

「職場では保存容器に入れて持参した玄米ごはんと果物、野菜を食べました。野菜と果物は近くのコンビニエンスストアで購入することが多かったです。具体的には果物はりんご、柿、バナナなど。野菜はきゅうり、ピーマン、ブロッコリー、キャベツ、レタス、トマト、にんじんなどです。塩をちょっと振るか、オリーブオイルに塩を混ぜて、それをドレッシングにするとおいしくいただけます。果物と野菜を最初に食べて、そのあと玄米を食べました」

夕食も基本昼食と同じですが、夕食で大切なことは、夜遅くに食事をとらないことです。

「午後8時から午前4時までの時間帯は、栄養吸収して体を補修する時間です。自律神経でいえば体は副交感神経が優位になっているリラックスのための時間帯です。夜遅い食事は自然の生理サイクルを乱してしまいます。どうしてもお腹が空いて眠れない場合は、無理をせずナッツやサラダなどの間食もよいでしょう」

毒出し食生活は玄米菜食を基本に

玄米

果物と野菜、玄米を中心に、いも類、豆類、海藻などの植物性食品を食べる玄米菜食は、老廃物などをため込まない食事の基本。動物性食品を抑えることでメンタルにもよい影響があります。

「果物や野菜など植物性食品中心の食生活にして、動物性食品の摂取を減らすと、心が穏やかになり安定してきます。肉食は心に興奮をもたらします。うつは沈んだ心、気分の落ち込みが症状としてあらわれますが、自律神経のほうは交感神経が過緊張状態。特に初期の頃はそうで、体も心も休まりません。ですから、うつ症状が強いとき肉食はかえって逆効果になる恐れがあります」

玄米には健康維持に必要な栄養素のほとんどが含まれているとされます。3分づき、5分づきにしてもよいですし、胚芽米や胚芽米に白米を混ぜる方法もあります。

栄養摂取だけでなく、近年は胃腸を休めることによる心身への効用が注目されています。ストレスが多いときや心の不調が続くときに必要なのは、酵素たっぷりの野菜&果物こそが体が求める栄養かもしれません。頑張らずにできることを探してみてくださいね。

(※現在、薬を服用している人は、いきなり薬を止めるのではなく体調と相談しながら宮島式に取り組むようにしましょう)

文/庄司真紀

参考書籍/

『メンタルは食事が9割』(アスコム)

『メンタルは食事が9割』(アスコム)

 

著者/

宮島賢也

宮島賢也
精神科医・産業医。1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業。研修中、意欲がわかず精神科を受診、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から、「薬でうつは治らない」と気づき、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服する。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係をラクにする「メンタルセラピー」を考案する。心の深い世界を知ったことから、さらに探求を開始し、現在は産業医などをしながら、心の不調の予防や教育により一層関われる方法を模索中。

 

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